アイドラッグ【ars K.N】 (ページ32)

今日:3 hit、昨日:19 hit、合計:1,391,000 hit

恋ページ32

数日後、久し振りに会ったまー君に

「ののちゃん、カズの事好きだったならどうして言ってくれなかったの！」

って、凄い勢いで迫られた。

「え...だって、和也は元サヤなんてありえないって言ってたし...出来れば忘れたかったし...」
「でも忘れてなかったんでしょ！？カズのこと、忘れられなかったんでしょ！？」

うわ、何か怒ってる。

「俺はね！カズがののちゃんを忘れられないって悩んでるの、ずーっと知ってたの！見てたの！」
「...えっ...そうなの...？」
「そーなの！だけど、ののちゃん『二度と和也に会いたくない』とか言うから...嫌いなんだと思ってたのに...」

さっきまでワーワー怒ってたのに、突然シュンとなった。

「まー君...？」
「ののちゃんのバカッ！14年も何してんだよー...バカー、おめでとー...」

泣きそうな顔で、「良かったねー」って言ってくれるまー君に私も「ありがとー」ってきっと、泣きそうな顔。

「おたくら、何なの。オレも居るんですけど」

ウェーンってなってる私たちを見て、和也は頭をポリポリしながらウンザリ顔。

「良かったね！カズ！一歩間違えばストーカーだったもんね！」
「人聞き悪りぃな！一途なだけだわ！」
「一途ぅ？の割に、結構色んな女の子と付き合ってたよね？」
「やっ...それはまぁ...若気の至り？」

ちょっと気まずそうに、和也がこっちを見た。

でもそれは私も同じコト。

だって、こんな未来が待ってるなんて想像もしてなかったから。

二人目がお腹に出来て検診に行ってる奥さんを病院まで迎えに行くってゆーまー君と別れて、私たちは和也の運転する車でドライブをした。

ハンドルを握る和也は、大人になって初めて見るからいちいちドキッとする。

「気になるから見詰めないでくれる？」
「見詰めてないけど？フフッ」
「あ、見惚れてんのか」
「じゃあ、そーゆーコトにしとくよ」

時間を埋める。

埋まる時間が、愛おしい。

・

あの日。貴方と再会したあの日。

そこそこ良い値段を払って診て貰った占い。

何なの！全然当たってない！って、騙された気分だった。
金返せー！って。

だけど、あの占い師さんはかなり凄腕だったみたい。
その内、テレビにでも出て来る売れっ子になるかもしれない。

「私はいつになったら、運命の人に出会えるんですか？」

そう訊いた私に、彼女は言ったんだ。

『運命の人には、もう出会ってるはずですよ』

・・・【アイドラッグ】END・・・