純情サディスティック【ars K.N】 (ページ41)

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41.空中散歩。ページ41

観覧車は、そろそろ天辺に着く。

そう言えば『観覧車の天辺でキスをした二人は幸せになれる』とか、そーゆージンクスってゆーのかな...よく聞くよね。

きっと、『ベタな経験は済ませてる』二宮さんはそんな事も経験済みなんだろうな。

「なぁ、A」
「えっ！？あ、はい！」
「そう言えば、何で向かい合わせで座ってんの？」
「え...？」

何で...って...

椅子が向かい合わせにあるから、ですけど...
普通じゃない？

「デートっつったら、横並びで座るもんじゃねぇの？」
「横...並び？」
「そう、お隣さん。だからこっち空けといたのに」

言われて二宮さんを見ると、確かに二宮さんは端に寄って座ってて隣に一人分のスペースがある。

「まぁでも向かい合わせだとお互いの顔が見れるってトコでは良いのかもな！」

そんなんもアリかー...なんて、二宮さんはブツブツ呟きながらまた景色を眺める。

お隣さん...そんなの頭にも無かった！
座りたい！
二宮さんとお隣さんしたい！

部屋でも車でもお隣さんだけど...観覧車のお隣さんもしてみたい！

だけど...言い出せない。
「そっち行っても良いですか？」なんて、私には言えないよ...。

私も景色を眺める。

どんどん街が近付いて来る。
観覧車は、もう地上に戻っちゃう。

「一応、やっとく？」
「え...？」

その声に視線を景色から二宮さんに移す。

二宮さんは天井に頭をぶつけないように、少し腰を折って立ち上がって椅子の真ん中に座ってる私の前で「どっちかに寄って」って手をヒラヒラさせた。

慌ててワンコを置いてない方の端に寄る。

「じゃ、お前はオレの膝の上」

そんな可愛い事を言いながらワンコを抱き上げて出来たスペースに、二宮さんが

ストン、って座った。

「多分な、恋人だとこうやって座ると思うんだわ」
「は...はい」
「距離感とかさ、こんな感じになるとか知ってても損は無いだろ？」
「あ、取材ですよね！はい、ありがとうございます！」

触れる肩。

すぐ近くから聴こえる声。

その腕組みを解いて、私を抱きしめて欲しい...なんて思っちゃう私は...えっちなのかな...。

二宮さんを見たくても近すぎて恥ずかしくて見れないから

二宮さんの膝に乗ってる、ワンコを見ながら

私は、ドキドキから気を紛らわすように唇をギュッと噛んだ。