純情サディスティック【ars K.N】 (ページ38)

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38.今日、初めて。ページ38

今日、初めて知った事。

二宮さんは絶叫系と呼ばれる乗り物が苦手。

私がしつこく誘ったら「乗るわ！乗ってやるわ！」って子供みたいに言って、降りた時には「吐きそう...」ってフラフラしてた。

こんな人だし、怖くっても声も出さずに耐えるのかと思ったら意外にも結構叫ぶし、叫び声はキャー！って女の子みたいに高くって、何と言うか...

「二宮さん、可愛いんですけど」
「はぁ？何言ってんの...こっちは吐きそうだって言ってんのに...」

すっごい可愛いんですけど、どうしたら良いですか？

何なの、もう。
ドＳな悪魔だと思ってたら、こんな一面持ってるとか...ズルい。

「ねぇ二宮さん、ここのお化け屋敷ってすっごく怖いらしいんです！」
「お化け屋敷！？」
「行きましょ！」
「お...化けは...」

今日、初めて知った事。

二宮さんはお化け屋敷も苦手。

でも、またしつこく誘ったら「入るわ！『お化け』っつっても所詮作りモンだろうが！怖くねぇわ！」ってやっぱり子供みたい。

でも人間が演じるお化け屋敷だったせいで作りモンじゃない『お化け』達に、キャーキャー言ってる二宮さんは集中攻撃を受けていた。

「マジ...何なのアレ...追っかけて来るとか反則じゃね？」

お化け屋敷の出口でゼェゼェ肩で息をしてる二宮さんが、今自分が出て来た建物を恨めしそうに睨む。

「二宮さん、可愛いんですけど」
「...A、馬鹿にしてんだろ」
「してないですよぉ？」

ムゥゥと眉を顰める二宮さんは本当に可愛くって、まぁこの人なら男でも30歳でも『白雪姫』でいっかなんて思ってしまう。

でもね、二宮さんずっとキャーキャー言ってたけど私を置いて先に逃げたりはしなかった。

キャーキャー言いながら、私より後ろにも下がらなかった。

ずっと、私の前に立って、私の手首をギュって掴んでくれてた。

「あ、A。手首痛くなかった？」
「え？」
「オレ、ビビってたからめっちゃ掴んでたよな？」
「そーですよー、ビビり過ぎです！」

二宮さんが叫ぶ度に、私の手首はギューって掴まれたけど

時々振り返っては「A、大丈夫か？」って声を掛けてくれた二宮さんはやっぱりカッコ良かった。

カッコ良くって、可愛くって、この人は最強だなと思う。

「あー...マジ、あのお化けやってた奴ら夜道で襲ってやりてぇわ。人を恐怖に陥れて喜んでる代償はでけぇかんなぁ...」

お口も最強に悪いけども。