純情サディスティック【ars K.N】 (ページ20)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:820,060 hit

20.膨らむ。ページ20

二宮さんが一緒に時間を過ごしてた人が女の人だったらどうしよう...なんて、不安になったり

顔も見た事の無い二宮さんの『初めての彼女』にモヤモヤとヤキモチを妬いてしまったり

もしかしたら、今の二宮さんには大切な人が居たりするのかな...って想像しては勝手に悲しくなったり

だからって、彼女居るんですか？って訊く勇気なんてこれっぽっちも無い。

二宮さんがうちに来る度に、キュウンとチクンチクンを繰り返して

でもやっぱり、キュウンの方がずっとずっと多くて

もっともっと、二宮さんの近くに居たいって思う。
もっともっと、二宮さんを知りたいって、そう思い始めちゃったんだ。

二宮さんに会う度に、私のキモチ、膨らんで来ちゃってるんだ。

「ただいまー」

ある日、学校から帰って玄関を開けた私の目に、予想して無かった物が映った。

「えっ！？あれっ...」

二宮さん...昨日原稿取りに来たよね...

じゃあ何でここに二宮さんの靴が綺麗に揃えられてるんだろう。

今日は来るはず無い。

「あ、A。二宮さんいらしてるけど」

玄関先で靴も脱がずに、二宮さんの靴をジッと見てる私にママが声を掛けて来た。

「でも...今日は来る日じゃ無いんだけど...」
「そうみたいね、二宮さんもそう言ってたから」
「あ、そうなんだ」

どうしよ、私、ニヤニヤしてないかな？
嬉しいの、顔に出てないかな？

思わず顔を両手でそっと挟んでみる。

ポッポッ...って、やっぱり熱い私のほっぺた。

「何してんの、早く上がりなさい？」
「はーい！」

会えないと思ってた日に会えるのって、こんな気持ちなんだ。
初めてだ、こんな気持ちになるの。

きっと、二宮さんは今日も私のベッドにコロンって寝そべって

スースーって気持ち良さそうに寝息を立てて

そしたら私は、その身体にブランケットを掛けてあげよう。

そんな事を考えながら、部屋のドアを開けた。

だけど、二宮さんは寝てなくて。

「おかえり、A」

部屋の奥

折り畳み椅子に脚を組んで座って

手にはiPad。

「早くこっちおいで」

ニッコリと笑う二宮さんは、やっぱり今日も格好良過ぎて

心臓に悪いよ...。