純情サディスティック【ars K.N】 (ページ17)

今日:27 hit、昨日:0 hit、合計:820,074 hit

17.ブランケット。ページ17

二宮さんが掛けてくれたブランケットの端っこをギュッと握る。

二宮さんの温もりとか、匂いとか、何かそんな色々がブランケットに残ってる気がして苦しくなる。

...って言っても、二宮さんがブランケット掛けてたのはホントちょっとの時間だったからそんな訳無いんだけど。

だけど、やっぱりドキドキが苦しい。

ベッドから立ち上がって、後頭部をガシガシと掻きながら二宮さんはいつもの指定席、折り畳み椅子に座った。

「A、いつまでそんなトコに座ってんの？」
「えっ！？あ...」

ベッドの横に座ったまま動かない私に二宮さんは首を傾げながら訊く。

私は掛けられたブランケットを肩から落とし、胸に抱いてPCの前に座った。

「A、コレお願いね」
「はい」

二宮さんにUSBメモリーを渡されて、PCに差して原稿をコピーする。

「あー...寝ても寝ても眠たいわ...」
「二宮さん、何でそんな眠たいんですか？寝不足？」
「んー？オトナは色々とあんのよ」

オトナ...自分が思ってる以上にその言葉にズキンとちょっと胸が痛む。

「ま、昨日はめんどくせェ奴に捕まっただけなんだけどな」
「捕まった...？」
「なかなか寝かせてくんないのよ」
「寝っ...！？」

ンフフって、口角を上げるその顔はやっぱりオトナで

チクンチクン、胸が痛い。

相手は女の人...なのかな...。
女の人...だよね...。

「ソイツ高校の頃からの腐れ縁でさ、服屋の店長してんの」

服屋の店長さんなんて、きっと綺麗でオシャレな人なんだろうな...

「喋らなければイイオトコなんだけどなぁ」
「えっ？イイオトコ？」
「うん、オトコ。女好きの遊び人」

家で呑むとなかなか寝ないんだよな、ソイツ！って、二宮さんはフワァとアクビ。

そっか...男の人だったんだ。

そっか。
そっか！

「ん？どした？」
「へっ！？」
「顔、赤くなってんぞ？」

ムニッとほっぺたをつねられて、私の顔が熱くなってるのバレちゃう！って思ったら

余計に顔がポッポッて熱くなって、「痛いですっ！」って二宮さんの腕を払い除けてそっぽ向いた。

「女好きの遊び人、ってのは女子高生にはまだ刺激強かったかー」

フハハッ！って大笑いしてるけど

そんなんじゃないもん。

二宮さんの方が、私には刺激強いんだから。

私は胸に抱いてたブランケットを、もっとギュウッと抱き締めた。