極楽ハニー 7th【ars K.N】 (ページ24)

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234.AS USUAL。ページ24

いつだって週末は待ち遠しくて

何度過ごしたって、嬉しくて楽しくて

だけど、今週はどこかニノミヤに後ろめたいような気持ちが小さく燻ったままだった。

別に智也と何かがあったって訳では無い。

あれからも、会社に出入りしてる智也とバッタリ顔を合わせてしまった事は何度かあったし、だからって昔のようなトキメキを感じる訳でも無い。

でも...『元カレ』という存在は『男友達』とは全然違って...
しかも、彼を想ったまんま別れてしまってる上に、智也があの時どう想ってたのかまで聴いてしまうなんて...

出来れば言って欲しくなかった、知りたくなかった...なんて言ったら、それは自分勝手だよね。

そんな事を考えながら本を読んでると、活字を追ってるようでただ眺めてるだけになってる事に気付いて

小さく息を吐き出して、また活字に目を走らせた。

「どした？」
「...え？」
「あ、つまんない？暇になった？」
「えっ、そんなコト無いよ？この本、面白いし。カズは心置きなくそのボスを倒してしまって下さい」

ソファに腰掛ける私の太腿に頭を乗せて寝っ転がりながら、DSでゲームをしてるニノミヤがクフッて笑った。

仕事で見せる事の無い、その甘えた態度と表情に心が喜ぶ。

柔らかい髪をフワフワと撫でると、猫みたいに目を細めて

チラっと私を見上げて別に何を言うでも無く、すぐにゲームの小さな画面に目を戻す。

寒さが厳しくなって来て、外に出るのも億劫だねって

お互い部屋着のまんまで暖房をきかせた部屋で過ごすこんな何でも無い時間でも、私は確かに「幸せだな」って感じてる。

「A、何時くらいに帰るー？」
「んー...明日私ちょっと早いから、9時頃には帰りたいかな？」
「じゃ、それに合わせて車出して飯食いに行こっか」
「うん、ありがと」

日曜日は泊まらず自分の家に帰るのも、もう私達の週末リズムになってる。

私が帰りたい時間に合わせて、ニノミヤが車を出してくれて一緒に夕飯を食べに行ってそのまま家まで送ってくれる。

今日も私達は車の中で「何食べる？」「昨日は何食ったっけ？」って会話を交わしながら、夕飯のお店を決めて

「次に左側に出て来た飲食店！」なんてゆー適当な方法で決まったラーメン屋さんが、思ってた以上に美味しくて二人で興奮して

「気を付けて帰れよー」
「フフッ、もう後は階段だけだってば」
「でも気を付けてよ？」

マンションの真ん前で停めてくれた車から降りた私に

ニノミヤはいつも、そう言うんだ。