極楽ハニー 7th【ars K.N】 (ページ19)

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229.カタマリ。ページ19

「いやぁ、Aの友達は美人ばっかだな！」

運転しながら、ニノミヤは楽しそうに笑う。

ニノミヤは、まぁ想像してたけど私の友人達にもやっぱりすぐ打ち解けて
彼の仕事が上手く行くのも、この人当たりの良さと世渡り上手なのが大きいんだろうなと思った。

で、「彼、凄い格好良いね！」って友人に耳打ちで褒められる度に
悪い気はしなかったけど、ちょっと不安になるのはこの人と付き合ってたら覚悟しなきゃいけないコト。

そんな複雑な想いを隠して、でも少しだけの嫉妬を含めて言ってみる。

「みんな旦那さんが居る子だから、手を出しちゃダメだよ？」
「フハハッ！おい、旦那どーこーの前にオレが彼女持ちだわ」
「フフッ、そうだったね」
「やだなぁ、オレは結構貞操観念シッカリしてんだかんね？」

貞操観念？
色んな女の子といっぱいイイコトしてた人がー。

「どのお口がそんなコト言うのかな？」
「この、お・く・ち」

んー、って唇を尖らせてこっちに顔を向けたニノミヤに「ちゃんと前見て運転してね？」って笑うと

ちぇー、ってわざとらしく言ってまた前を見た。

「ねぇ、カズ」
「んー？」
「何で迎えに来てくれたの？やっぱ、暇だったんでしょ？」
「何よ、来て欲しくなかった？」
「えっ！？...ううん、そうじゃないけど...」

むしろ、めっちゃ嬉しかったけど...

すっごい人恋しくなってたから、そんな私の気持ちがニノミヤには分かったのかな？って

彼はよく「エスパーじゃねぇもん」って言うけど、本当はエスパーなんじゃないの？なんて

そう、思ったけど...。

「...ただ、何でかなぁ...って思っただけ」
「気になっちゃう？」
「うん、気になっちゃう」

街の明かりが、ニノミヤの横顔を照らす。

綺麗なそのラインが、浮かび上がる。

「結婚式は危険がいっぱいだからですよ」

ニノミヤが、こっちに視線すらよこさずに呟いた。

「危険？」
「分かってる？新郎側の友人ってのも出席してんだかんね？」
「あ...あー、うん。そりゃねぇ」
「そんな狼の群れの中に大事な彼女を放り込んだまんまなんて、気が気じゃねぇわ」

何を言ってんだ、この人は。と、思う。

だけど同時に胸キュンだって、しちゃってるんだ。

「オレは、独占欲の塊ですから」

台詞はなかなかヘビーだけど、その表情は柔らかくて

片手でハンドルを握ったまま、もう片方の手が私の頭を優しく撫でる。

「今日はお持ち帰りしちゃうから。拒否権はねぇよ？」

拒否なんてしないよ、ばーか。