極楽ハニー 7th【ars K.N】 (ページ17)

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227.独身女子考察。ページ17

この歳になって出席する、『学生時代の友人の結婚式』は『親戚の結婚式』には劣るけど、そこそこの居心地の悪さを感じたりもする。

『同僚の結婚式』ではそこまで気にならないのに、何なんだろう...これ。

土曜日、現実感の無い華やかな結婚式場でふと思考が現実に戻る。

懐かしい顔が揃って、さながら同窓会。

それが凄く楽しいのは、本音。
本当に楽しい。

だからこの居心地の悪さは、ただ単に自分の気持ちの問題。

同い年が集まって、学生の頃は同じ立場だったはずなのに今ではそれぞれが全然違う境遇に居る。

「うちの旦那がね...」「息子が幼稚園でさぁ...」「姑との関係が...」

自然と始まるそんな話に、入れないのがきっと...居心地の悪さの原因。

「A、独身って最高でしょ！」「独身でも彼氏が居るんなら幸せだもんね！」「仕事出来る女って格好良いよね、自立してて！」

彼女達に悪気が無いのは分かる。
だって、いつまでもそんな話が続く訳じゃなくってすぐに最近好きなアイドルの話で盛り上がったりするんだから。

話題のひとつでしか、無い。

私も、ニノミヤが居るんだからこんなの絶対に平気だって思ってたはずなんだけど...

ビックリした。
意外と私は、自分が独身だってコトを気にしてたっぽい。

バージンロードを父親と歩いて来る、同い年の友人は綺麗でシンプルな細身のドレスを着ていて

そうだな、私も年齢的に着るならプリンセスラインじゃなくってこーゆー大人っぽいドレスの方が良いんだろうな...なんて思ったりして

皆が感動してる中で、そんなコト考えちゃってる自分にちょっとだけ自嘲してしまった。

結婚式に出席すると、やっぱり自分も結婚したくなるのは

まぁ、女のサガと言いますか...許して欲しい範囲だったりもするんだけど

...ニノミヤには言えない。よね。言える訳無い。

いくらニノミヤが31歳だって言っても、年下だし。

それでなくてもきっと、年上女と付き合ってるってのは結構重いんじゃないかって思ってるし。
ニノミヤの前では重さの無いサラっとした、そんな大人の女で居たい。

いくら彼の愛情が本人曰くメガトン級でも、私はそんなの見せちゃいけない気がしてる。

ホントは、きっと私の愛情の方がギガトン級だと思ってるけど。

二次会まで出席して、程よく酔っ払って会場を出てスマホを見ると着信履歴が残ってた。

「...カズ...」

液晶に浮かぶ『着信・二宮和也』の文字に、胸がギュウっと縮んだ。