極楽ハニー 7th【ars K.N】 (ページ12)

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222.アイスキャンディ。ページ12

結局、ニノミヤに溺れてしまった私は

気怠い身体でベッドに横たわる。

そんな私の上にベターッと乗っかってる、ニノミヤ。

...重い...。

「...カズ、そろそろ降りて欲しい」
「えー、何でよ。女子はピロートークが好きなんじゃねぇの？」
「ピロートーク...って、カズ乗っかってるだけでしょ」
「だってAの身体が柔らかくてキモチイんだもん」

さっきまでの色気はどこ行った？な雰囲気で、ニノミヤがポスンと私の胸に顔を埋めた。

...埋められる程、豊かじゃないけど...。

「シャワー浴びたいってば」
「ん？一緒に？」
「やだ。1人でゆっくり浴びたいの」
「何だよー、ケチー」

ずっと胸に顔をうつ伏せたまんま喋るから、声がモゴモゴしてる。

「ねぇ明日仕事だし私、帰んなきゃ」
「え？」

子犬みたいな顔して、ニノミヤが顔を上げた。

「だから早くシャワー浴びなきゃ、終電無くなっちゃう」
「オレ、ビール飲んだから送りたくても運転出来ねぇって」
「...聞いてた？私、終電って言ったよ？」

無理問答の様なやり取りに、プッと笑ってしまう。

「帰んの？」

身体を起こして私から離れたニノミヤが私に毛布を渡しながら、ベッドの淵に座って訊く。

私も起き上がりその毛布に包まりながら「うん」と頷く。

「平日まで泊まると...ほら、ね？あんまり...」

絶対に毎日一緒に居たくなっちゃう。

依存してしまいそうで、怖い。

落ちてる下着を拾って身に着けたニノミヤが立ち上がり、キッチンへ歩いて行く。

「ねぇA」
「何？」
「今週末、友達の結婚式って言ってなかった？」
「あー、うん。土曜日」

大学の頃の友達の結婚式が週末に待ってる。

こないだの休みにはニノミヤと一緒にその為の服を相葉さんのお店に買いに行った。

「じゃ、その分」
「え？」
「週末、うち来れないでしょ？その分、今日泊まったら良いと思うんだけど」

どうだろう？って、微笑みながらキッチンから戻って来たニノミヤの手にはアイスキャンディが二本。

「オレンジとぶどう、どっちが良い？」
「ぶどう」

私が答えると、紫色の方をくれて

自分はオレンジの方を咥えて、ベッドの淵に腰掛けた。

「一名様ご宿泊ね」
「フフッ、決定事項？」
「決定事項」

私が持ってるぶどうの方に顔を寄せて一口囓ったニノミヤが、そのまま上目遣いに私を見上げる。

「オレが今日はもう離れたくないから」

ポカンとしてる私の口にオレンジの方を突っ込んで、ニノミヤがニッと笑った。