極楽ハニー 7th【ars K.N】 (ページ11)

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221.スキス。ページ11

私の上に(腰辺り...でしょうか)跨ってるニノミヤがローテーブルに手を伸ばして

缶ビールを取り、口を付けた。

わたしも子供じゃないし彼が何をしようとしてるか、何と無く予想は出来る。

予想出来るからこそ、ドキドキが止まらない。

口を閉じたまんま、ニッと笑ったニノミヤがまた覆い被さって来る。

私の頭の横に両腕を立てて

ゆっくり、顔の距離を近付けて

腕立て状態だったのがその内、肘を付く姿勢になって

鼻と鼻を、軽く触れさせた。

本当に私が触れて欲しいのは、そんな所じゃないって絶対にニノミヤは分かってる。

だけど、そんな簡単に欲しいコトをしてくれないのも分かってる。

至近距離にあるニノミヤの鳶色の目が、ゆるっと細くなったと思ったら

鼻を避けるように首を少し傾けた彼に、頬を柔らかく撫でられて

その指が私の口元に触れ、唇を割るように軽く侵入して来た。

ニノミヤの目に、どんどん深い色が増して来る。

二人の間に流れる空気が変わって行くのを感じて、脳に膜が張ったようになる。

歯にニノミヤの指が当たり、条件反射のように口を開くと

彼は満足そうに微笑み、私の口内に指を入れたまま

唇を重ねた。

重ねられたニノミヤの唇から、流れこんで来る一口分のビール。

冷たくも無ければ、炭酸も薄れてて正直全然美味しくないのに

今まで飲んだ、どの飲み物よりも甘く美味しいように感じたのはきっと

もう、私の心が、身体が、ニノミヤを欲してしまってるから。

上手く口に入らなかったビールが、唇の端から流れる。

流れたそれを、ニノミヤが舐め取った。

「ンフフ、おいし」

私に見せつけるように舌を出してペロリと自分の唇を舐めた彼へと、両手を伸ばし

柔らかい髪の毛の中に指を通す。

そしてスルスルと、梳くようにその髪を撫でる。

そんな私を、何も言わずに見下ろし続けてたニノミヤが

気持ち良さそうに目を閉じた。

色っぽいような、子供っぽいような

優しいような、意地悪なような

どちらとも言えるし、どちらとも言えない表情が愛しくて

撫でてた頭を引き寄せて、自分から口付けた。

ちょっとビールの味が残る唇が触れた瞬間

それが合図だったように、ニノミヤが私の唇を少し強めに噛む。

でもすぐに、噛んだ部分を柔らかく唇で挟み舌でなぞる。

相変わらずだなー...って

相変わらずキスが上手いよ、コイツ...って

クッソー！なんだけど、チクショー！なんだけど

でもやっぱ、このキスが好きで

全部溺れたくなる。