極楽ハニー 5th【ars K.N】 (ページ5)

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145.MONOPOLIZE。ページ5

「自分だって...可愛い女の子とランチ行ってるんだから...」
「ん？やっぱ、やだった？」
「イヤ...って言うか...仕方無いって思ってるけど...」

思ってる、仕方無い。

だって、モテるんだもん。
そんな事、付き合う前から...ってゆーか好きになる前から分かってた。

そして、そんなニノミヤと内緒で交わす会話が嬉しくて

嫉妬よりも、そっちの方が大きいから大丈夫って、そう思ってた。

だけど、結局自分にそう言い聞かせてただけなんだなって、今更実感する。

大人の女ぶって、平気な顔してたけど

やっぱり、ニノミヤの隣にはいつだって私が居たいって思ってしまう。

やだな...こんな独占欲はニノミヤに知られたくない。

気付くと、俯いてしまってた。

「A、顔上げろって」

項垂れる私の頭上から、落ちて来る声。

「やだ...」
「はぁ？顔見せろって」
「やだってば」
「フッ...ホンット、強情だよな」

ククッと小さく笑ったニノミヤは、掴んでた私の手首を離したと思ったらストンと足元にしゃがみ込んで下から私の顔を見上げた。

「フハハッ！何て顔してんのよ。どーゆー顔なの、それ」
「...どーゆー顔って...多分、自分を情けないって思ってる顔だと思うけど...」

てゆーか、自分がどんな顔してんのか分かんないからその台詞すっごく不安になるんですけど...

超ブスなんじゃないの？
ヤバイ、顔を戻さなきゃ...って、戻すってどんな顔にすれば良いのよ！

笑う？いやいや、突然笑うのは不気味でしょ

真顔？いや、それもある意味不気味だってば！

「何なの、もう。可愛いんですけど？やめてくれません？」

はぁ？

所謂ヤンキー座りになって、自分の膝に肘を置いて頬杖をついたニノミヤが私を見上げながらちょっと困ったような笑顔を見せる。

「オレ、その『自分を情けないって思ってる』状態のAの顔、好き」
「...何言ってんの？」
「他にどんな顔、隠し持ってんのよ」

座ったまんま片手を伸ばした彼にスカートの裾を引っ張られて、私もそこにしゃがんでしまってニノミヤと向き合う。

「もうオレ、オンナノコの誘いは全部断るわ」

茶色い目は、決して揺れる事無く私の目の中をジっと見詰める。

「でも...」
「まぁ、毎日外で食ってんのも正直無駄遣いだしなぁ。弁当にでもしよっかなー」
「カズが自分で作るの？」
「これからは弁当男子だって、ＣＭで無駄にイケてる兄ちゃんが言ってたし」

クスクスと、ニノミヤは私の頭を撫でながら笑った。