156.CHARACHARA。 ページ16
「カズは？」
「んー...？」
ニノミヤは首筋に唇を這わしたまま
「私で良いの？」
「んー...フフッ...」
「もう何？やなの？」
ペロリ、彼の舌が私の耳元を舐め上げた。
「Aしか、無理」
...流さなきゃ！流さなきゃ、心臓止まっちゃう！
「へっ...へぇ...」
「Aが良い。Aじゃなきゃやだ」
「...へ...」
...流せない！流せないって！
こんな台詞、サラっと流せるほどの強靭な精神は持ち合わせて無い！
一気に顔が熱くなって、心臓がドキドキなってるのも自分で気付いてる。
「オレから離れんなよ？」
離れたくても、離れられないよ。
もう後戻りできない位に好きになっちゃった人から、どうやったら離れられる？
「ま、離さねぇけど」
小さく笑いを含んだ声で、ニノミヤが言う言葉をどこか他人事の様に聴いていた。
現実味を感じなくって
でも確かにニノミヤの体温は感じて
胸も、目の奥も、キュっと熱くなって来る。
一瞬、私に巻き付いてる腕が緩んだと思ったらチャラっと音がして
目の前に、上からスッと鍵が下りて来た。
思わず、寄り目になってしまう。
「これ」
「...うん、鍵？」
「うん。鍵。何の鍵だと思う？」
「え？」
ニノミヤんちの鍵でしょ？
さっきまで見てたし。
「オレのココロの鍵ー！なんつってー！」
「...はい？」
「Aにあげる」
「...えっ！？」
チャラチャラと目の前で揺らされる、銀色の鍵。
「さっきの鍵はマスターだったの。で、これはスペア」
「...カズ...」
視界がボヤける。
揺れてる鍵が、ボンヤリと滲んでく。
「A？」
後ろから抱き締められてて良かった。
私の顔は見えないよね。
「ンフフ、泣いちゃった？」
「...泣きま...っせん...」
私の頬をスルリと撫でて「下手な嘘はつかない方が良いよ？」って笑う。
何も隠せない
ニノミヤには、何ひとつ隠せない。
「そんなに嬉しかった？」
「...教えない...」
「教えろよー、ケチー」
「...嬉しいわ！バカッ！」
「フハハッ！恐ろしく口が悪いな、オレの姫は」
ポロポロ零れる涙は、あったかくって
心も、あったかくって
私を抱き締めてるニノミヤの腕も、あったかくって
「悔しい...けど、めちゃくちゃ嬉しい...」
「オレのココロの鍵だもんな」
「フフッ、だね。隅から隅まで覗こっかなー」
「やだ、えっち。あ、DVDプレイヤーは触んなよ？」
もう、そればっかり！って笑って、私はニノミヤの腕をギュっと抱き締めた。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年8月14日 12時
