極楽ハニー 5th【ars K.N】 (ページ11)

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151.ルーラ。ページ11

え？と思ってると、もう一度ピンポーン...と、響く音。

ニノミヤ？って思ったけど、LINE来たのさっきだし...チャイムは鳴り続ける。

恐る恐るモニターを見に行く。

「...え！？」

小さなモニター画面に映ってるのは、間違いなくニノミヤで「はやく、あけろ」って分かりやすく口パクしてる。

『通話』って書いてあるボタンを押して「どうしたの！？」って訊くと、彼は「帰って来た、以外にどんな答えがあんのよ」って笑った。

「早く開けてー。あちぃんですけど」
「あ...うん、ごめん」

『通話』の横の『開錠』を押すと自動ドアが開いたらしく、モニターの中からニノミヤは居なくなった。

「...ホントにアイツ、魔法使えんの...？」

いや、怪しいとは何度も思ってたけどさ。

だって、あの若さはおかしいでしょ。
「夜な夜な、でっけぇ壺掻き混ぜて若返りの薬作ってんだよねー！材料はトカゲの尻尾と蛙の目玉、オレのウィンクが隠し味」とか言われても、信じる。

カチャリと玄関が開く音がして、「ただーいまー」って声がした。

玄関に出ると、靴を脱ぎながら私を見たニノミヤがニッコリ笑う。

「ただいま、A」
「...おかえり、カズ」
「ンフフ、ちょっと来て」

ヒラヒラと手招きをするニノミヤに近付くと、腕が伸びて来てギュっと抱き締められた。

「想像以上」
「え...？何が？」
「帰って来て好きなオンナノコが居るのって、想像以上にクルよ」
「好きな人が帰って来るのも、想像以上にクルよ？」

クスクス笑い合って、外の暑さで少し汗ばんでシットリしてるニノミヤのワイシャツまで愛しく感じる。

「ねぇ、早くない？」
「何が？」
「帰って来るの...だって、LINE来たのさっきだよ？」
「あー...」

ちょっと身体を離して、ニノミヤの顔を見上げる。

「まさかカズって、本当に魔法使えるとか言わないよね」
「あぁ、ルーラ？」
「フフッ、ドラクエだっけ？」
「そう、ドラクエの移動魔法。欲しいわ、ルーラ」

ちなみにオレは使えません、って割と真面目に答えたニノミヤが私の頭にポンと掌を置く。

「送ったと思ってたLINEが送れて無かったのをマンションまで帰って来て気付いたから、そこで送ったの」
「...そこまで帰って来てたなら、もう連絡いらなくない？」
「だってほら、もしAが淫らな姿になってたりしら、突然帰って来られると焦るっしょ？」
「なりません！」
「なっても良いのに」

プニっと私の頬を指でつついたニノミヤが、緩く微笑んでキスをくれた。