極楽ハニー 4th【ars K.N】 (ページ8)

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113.MOOD。ページ8

髪を撫でるニノミヤの掌

身体を抱き締めてるニノミヤの腕

背中に密着してるニノミヤの胸

首筋に這うニノミヤの唇

もう、これだけでどうにかなっちゃいそうに、苦しい。

「センパイ...好き」

耳元で囁かれる、少し掠れた声に鼓膜が甘く震える。

「うん...」
「あれ？照れてんの？」
「...うるさいな...」

身体に巻き付いてた腕が、スルリと動いた瞬間

思わず、その腕をギュっと握ってしまう。

「ん？何？」
「...何しようとしてるの...？」
「え？それ言わせる？」
「あ...えー...っと...」

私の胸の辺りにあるニノミヤの手を動かせないように、もっとギュウっと握る。

「触りたいんですけど」
「やっ...！だって...ハンペン...ッ！！」
「ハンペン？」
「あっ...」

しまったー！！
ハンペン入りのブラが気になり過ぎて...！！

「フッ...ハハハッ！！」

ニノミヤは、私の背後で「ハンペン...！」って大笑いする。

「わ....笑わないでよ！」
「だって、ハンペン！フフッ...」

笑いが止まらないって雰囲気でクスクス笑ってる彼が、後ろから頬にキスをして

「風呂、入って来る？」

優しく訊く。

「お風呂...」
「着替えたいでしょ？何か貸したげるよ、部屋着」
「...ありがと...」

力いっぱい握ってたニノミヤの腕を離すと、ポンと私の頭を撫でて立ち上がりペタペタとリビングを出て行った。

...ムードの欠片も無い自分にウンザリする。

だけど、胸のドキドキはニノミヤが離れた今でも消えなくって

顔もずーっと熱い。

仕事部屋になってるってゆー部屋から戻って来たニノミヤが、ソファに座ったまんまの私の前まで歩いて来る。

「これで良い？」
「うん...」

Ｔシャツとハーフパンツを渡され「風呂、こっち。おいで？」って、手を引っ張って立たせてくれた。

繋がれた手を離さずに洗面所まで連れて行かれると、そこには相葉さんのお店の紙袋も置いてある。

「じゃ、ゆっくり入っておいで」
「ありがと...」

引き戸が閉められて、ペタペタと廊下を歩く足音。

その足音が途切れて、リビングの扉がパタンと閉まった音が聴こえて私はやっと息を吐き出せた感覚になる。

置いてあった紙袋を覗いて、ワンピースの下にある下着を出す。

何だか

今更

ここで一晩を過ごすって事だよね...なんて、実感して。

洗面台に用意されてる綺麗に畳まれたタオルに、妙な緊張が湧いて来た。