極楽ハニー 4th【ars K.N】 (ページ3)

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108.サービスとお会計。ページ3

さすがに自分でも分かる。

絶対に、赤くなってる、私。

「ってか、相葉さんって普段からワタヌキちゃんに可愛いとか言うの？」
「言ってるよ？いつでもどこでも！」

相葉さんの彼女の話かな？と思いながら、私は自分の顔の赤みが早く引かないかな...と頬を押さえる。

「それ、ワタヌキちゃんは喜んでんの？」
「喜んでるよ！あ、悦んでるよ！」
「...何で二回言った？」
「ニュアンスの違い」

何じゃそら、って言ったニノミヤが頬を押さえてる私の手を掴んで顔を覗き込んだ。

そして、何も言わずにニッと笑う。

「...何...？」
「ううん、何でも無いよ？」

ンフフ、って笑うとニノミヤはまたソファにポスンと座った。

「センパイちゃん、ニノのブーツちょっと大きいと思うからこれ履いてね！」

相葉さんが少し厚手の靴下を持って来てくれて「これは、俺からのサービス」って、ウィンク...のような感じで目をギュっと瞑る。

「えっ！？良いんですか？」
「相葉さんがサービスって言ってんだから良いの良いの」

でも...と、相葉さんを見ると「良いの良いの！」って笑ってる。

「センパイ一応試着しとけば？」
「あ、そうだね」

似合わないかもしれないし、試着は大切。

そう思って、相葉さんオススメのワンピースを試着してみる。

さすが店長さんが言ってた通り、思ったよりずっと大人っぽくてブーツが合いそう。

何だか、ファッション誌のエディターをしてた頃を思い出してワクワクして来た。

試着室から出ると、ニノミヤがレジのあるカウンターで相葉さんと談笑してる。

私はそこへ合流して「サイズもちょうど良かったです」と、ワンピースをカウンターに出した。

「結構大人っぽかったでしょ？」
「はい！綺麗なラインでした」
「でしょー」

相葉さんがにこやかに手際良くワンピースを畳み、下着がもう既に入ってるショッパーの中に加えて、私に「はい、どうぞ」と渡してくれた。

「あの、お会計...」
「もう貰ってるよ」
「え？まだ...」
「フフッ、素敵な彼氏だねぇ」
「えっ？」

カウンターに凭れてたニノミヤを見ると、「さぁて、帰りましょうか！」って背中を向けた。

「...ニノミヤ、あの...」

スタスタと歩いて行ってしまうニノミヤを追い掛けようとすると、相葉さんに呼び止められる。

「ニノ、照れ屋さんだから。ここは『ありがと』って言ってあげるだけで良いからね」
「...はい」

相葉さんの笑顔に送り出されて、私はニノミヤの背中に追いついた。