極楽ハニー 4th【ars K.N】 (ページ1)

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106.母性本能。ページ1

「では、こちらでお預かりしてますね。ごゆっくり、お洋服もお選び下さい」

可愛い販売員のお姉さんが、ハンペンの入ってないオシャレ下着セットを手にカウンターへと歩いて行った。

ふぅ...と小さく息を吐いて、ニノミヤの元に戻ると彼は店の端にあるソファに座ってスマホのゲームに夢中になってる。

相葉さんは？とキョロキョロすると、他のお客さんの接客をしてる。

「ニノミヤ、お待たせ」
「んー、ちょっと待ってー...コイツだけやっつけるから...」

口とんがっちゃって...可愛いな、おい。

言わないけど。

私はニノミヤとの間に隙間を開けて、ソファの端に腰掛けた。

チラっとゲームに夢中なヒトに目をやると、彼もチラっとこっちを見た。

絶対にスマホの画面から目を離さないだろうと思ってただけに、その視線に妙にドキっとしてしまう。

次の瞬間、ニノミヤはジリジリとこっちに近寄って来てコテンと私の肩に頭を乗せた。

「ねぇ。コイツがさぁ、ちょー強くって。なかなか倒せないんだよねぇ」
「あ...あぁ...へぇー...」
「ここでさぁ、この技を...」

私にゲーム画面を見せながら何かよく分かんない説明をして来るんだけど、そもそもそのゲーム知らないし

て言うか...

もう、この密着度が気になってしまってニノミヤが喋ってる事の半分以上が入って来ない。

相変わらず口とんがらせて、何かブツブツ言いながら私の肩に頭を乗っけてる姿に

私の中の母性本能が総動員してるんじゃないかと思う程、キュンキュンしてしまう。

「センパイちゃーん」

その時接客を終えた相葉さんがこっちに向かって来て、私は慌ててニノミヤから離れようとするんだけど...頭が重い！

体重全部預けてる、コイツ！

「ちょっとニノー、人の店でイチャつかないでくれる？」
「はぁ？どこがイチャついてんだよ。何もシてねぇじゃん」
「何かシだしたら追い出すからね？」

相葉さんが「ホント、困ったちゃんだよねぇ」って私に笑い掛ける。

何て応えれば良いのか分からないから、曖昧に笑い返してみた。

「ねぇ、センパイちゃん。服もいるんだよね？」
「あ...はい。一応...」

泊まる...ってなっちゃってるみたいだし

...って言うか下着買ったのに、何だかちょっとまだ照れ臭い。

「上下選ぶの面倒かな？って思ったからワンピース集めといたよ」

何着かのワンピースが掛かったシングルハンガーを引っ張って来てくれた相葉さんが、私を手招いた。