極楽ハニー 3rd【ars K.N】 (ページ34)

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104.明日の話。ページ34

「えぇっ！？」

ニノミヤんちに！？

今から！？

「声がでけぇよ」
「あっ...」

繁華街の真ん中で大声を出してしまった事に気付いて、慌てて自分の掌で口を押さえる。

その間も繋がれてる方の手はグイグイ引っ張られて、脚が駅とは逆方向に向かって歩いてる。

「ねぇ...ニノミヤ...」
「ん？何よ」
「うち...って...」
「オレんち知ってんでしょ？あそこに帰んの」
「...私もそこに...？」

ンフフッ、って小さく笑ったニノミヤが歩きながら私の耳に口を寄せた。

「こーゆー時は、黙ってついて来れば良いの」

耳元で囁かれた声に、心臓がギュってなる。

「そうだ、着替えいるよね」
「着替えっ！？」

泊まるの！？私、泊まるの！？

「あの店、下着取り扱ってたかなぁ...」
「下...っ！？」

下着っ！？
下着ーっ！？

黙ってついて来れば良いなんて言われたから何も言えなくて、口だけをパクパクさせながらニノミヤに引っ張られ続ける。

ニノミヤは腕時計を見て「まだ開いてるな」と呟くと、「ちょっと寄り道！」って路地を曲がった。

連れて来られたのはニノミヤの家では無くって、オシャレな服屋さんの前。

「明日着る服、いるでしょ？」
「明日...って事は私、泊まるって事だよね...？」

今更な事を、一応訊いてみる。

「帰すつもり、無いけど」

...なんて顔をしてるの！？

こんな、まだ深夜でも無い健全な時間帯に人もたくさんいる繁華街で

なんて色っぽい顔してるの！？

「...もう、アンタ猥褻物陳列罪だよ...」
「は？何言ってんの、センパイ」

ケラケラ笑いながら、ニノミヤはその服屋さんの中に入って行く。

私もついて入ると、商品を畳んでたスラっと背の高いお兄さんがこっちを見た。

「あっ！ニノ！いらっしゃーい！」

お兄さんが、ニノミヤに向かって満面の笑みを見せる。

「相葉さん、ここって下着も売ってんの？」
「下着？ボクサーならあるよ。何？漏らした？」
「お前、バカじゃねぇの？」
「だって下着って言うからさぁ」

何だか可愛い雰囲気の声を出すお兄さんと、ニノミヤはどう見ても店員さんとお客さんの感じでは無い。

「あれ？ニノ...」

お兄さんが私の存在に気付いて、丸い目を更にクリンと丸くする。

「もしかして...」
「はいはい、彼女ですよ」
「えーっ！！うわぁ、初めましてー！」

ペコリと頭を下げたお兄さんは

「相葉雅紀です！あ！ここの店長です！」

今、風でも吹いた？って思う程爽やかに笑った。