極楽ハニー 3rd【ars K.N】 (ページ20)

今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:2,043,255 hit

90.膨らむ。ページ20

触れてただけの唇が、ふっと離れた瞬間

私はズズーッと鼻を啜ってしまって、ニノミヤに「フハハッ！色気ねぇな！」って爆笑された。

「だって...鼻水が...」
「だから、それが色気ねぇって言ってんのー」

ククッて小さく笑いながら、ニノミヤの指が私の目の下を撫でる。

その仕草が、何だか...凄く優しくて

鼻の奥がツーンとして、また涙が溢れて来る。

「ンフフ。泣くなや、化粧落ちるぞ」
「...ヤバイ...偽りの仮面が剥がれる...」
「良いじゃん。全部見せてよ」
「やだよ...スッピンなんて見せらんない...」

私は残念ながらアンタみたいに魔法使いじゃないから、お肌もそんなプリプリしてないの！

毎日自分のそんな綺麗なお肌を見てるニノミヤに...無理無理無理！

女としての自信を無くしそうだから、無理！

「まぁでも、オレ見てるんだけどね？」
「...え？」
「センパイの、スッピン」
「...えっ！？」

私の目尻を親指でキュッと拭いたニノミヤは、口角を上げて悪戯っ子みたいな顔を見せる。

「オレが泊まった日さぁ。センパイ、朝起きた時化粧してた？落としてたでしょ？」

ニノミヤが泊まった事は、サッパリ覚えてないけど朝の事は覚えてる。

頭はガンガンしてたけど、メイクは確かしてなかった。
うん、してなかった。

ブラだってしてなかった位なんだから...はぁ...思い出すとやっぱり情けない。

「あれ、センパイが自分で落としたと思ってたの？」
「...違うの...？」
「オレが落としてあげたんだよ？」
「......えぇっ！？」

何それ、どーゆー事！？

「センパイさぁ、部屋入ったらそのまま寝ようとしたから化粧落とした方が良いんじゃねぇの？って言ったんだけどね」
「...うん...」
「洗面所にメイク落としクリームあるからーって言われて持って来てやったらセンパイ、ウトウトし始めてて...」

だから、無理矢理起こしてオレが顔にクリーム塗って拭き取りまでしてやったんだよ。

そう言って彼は、小首を傾げながら私の顔を覗き込んだ。

「何かそん時ね、どんどん化粧が取れてくセンパイ見てたらさぁ...」
「ちょっ...！やめてよ...」

どーせ、呆れたんでしょ。

最悪...泥酔してる上にスッピンまで見られて...ってゆーか、それ以上の失態おかしちゃってんだけど...

そりゃ呆れるって。

「こんな可愛いオンナノコ、オレ以外のオトコに見せたくねぇなって、思った」

知らなかったニノミヤの気持ちを一個一個知る度に

その度に、好きが膨らむ。