極楽ハニー 3rd【ars K.N】 (ページ18)

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88.TRUTH。ページ18

何を言われてるのか、よく分からなくって

何も言えなくて

ただ、ニノミヤの目を見るしか出来ない。

「オレがあん時...センパイ抱いた時さ。どう想ったか分かる？」
「...分かんないよ...」

唇をギュっと噛んで俯くと

「オレのコト、ちゃんと見ろって」

って、両手をギュッギュって握られて

ゆっくり顔を上げる。

ニノミヤは、そんな私の顔を見て緩く微笑んだ。

「やっとセンパイをオレのモンに出来たって、想ったんですけど？」

その声は、酷く優しい。

「なのに、無かったコトにしろなんて言われたオレの気持ち、分かる？」
「...え...」
「フラれたー...って。センパイにとって、あれはアヤマチでしか無かったんだなー...って」

そう、思ったんですけど？って、ニノミヤは私の顔を覗き込んだ。

「だけど、オレがちょっと何かしたらセンパイ可愛い顔すんだもん。もしかしたら、これ押せばどうにかなるんじゃねぇの？って」

嘘だ...嘘だ...また私をからかってるだけなんだ...

「オレ、諦めわりぃし。ほら、言ったでしょ？いまわの際に『我が生涯に一片の悔い無し』って言えるような人生にしたいって」
「...ん...」
「センパイのコト諦めたら、それ言えねぇもん。悔い残しまくりだわ！」

脚の力が抜けて、背中を壁にズルズルと擦りつけながら

私は床にペタンと尻餅をついた。

私の両手を握ってたニノミヤは「おいおい、だいじょぶ？」って笑いながら一緒にしゃがんで、フフッて口角を上げる。

「だけど...だけど、ニノミヤ...いっつも余裕な顔して...」

そうだよ...

いつだって余裕な顔して、飄々として

だから、からかわれてるだけだって、ずっとそう思ってて...

今だって、余裕綽々に私を見て...

「オレ、余裕なんて少しもねぇよ？今だって...苦しい。センパイ見てると、すげぇ苦しい...」

私の両手を、両手で包み込むように握り直したニノミヤが

その手を引き寄せ、自分の胸に添えた。

トクントクン、ニノミヤの心臓の音が手に伝わって来る。

「ね？ドキドキしてんの、オレ。分かる？」
「...ん...」
「責任とってよ。どーしてくれんの？」
「...責任って...」

ニノミヤの心臓より、私の心臓の方がよっぽどドキドキしてる。

責任とって欲しいのは、私の方だ。

どーしてくれんの？

「センパイ」

私の手を解いたニノミヤの掌が、涙が渇いた私の頬に触れた。

「好きです」

ニノミヤが言い終わる前に、私、また泣いてた。