極楽ハニー 3rd【ars K.N】 (ページ12)

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82.LINEライン。ページ12

ここ最近、梅雨の晴れ間が続いてる。

生田さんからは、度々LINEが届くようになって、でも決して毎日じゃなくて

何か用が無いとかけにくい電話と違って、気軽に送れるLINEは生田さんとの距離を縮めたような気がした。

何でも無い短い文や、ちょっと笑えるような写真。

生田さんから送られて来るLINEに、私も喋る時よりは軽く返信をして

会ってる時はやっぱり言う事の出来ない『斗真くん』も、LINEの中では呼ぶ事が出来た。

『今日は忙しくて、昼飯コンビニおにぎりだけになりそー(T ^ T)』

生田さんからの、そんなLINEに

『お疲れ様です！最近はコンビニのおにぎりも美味しいですよ(^_^)私は、今からハンバーグ食べますけどね♪』

なんて軽く返信しながら、食堂の券売機で食券を買っていると「今日はハンバーグ？」って手元を覗き込まれた。

「あ、カンナ！今日はお弁当じゃないの？」
「うん、ご飯炊くの忘れててさぁ！もー、朝から笑った！」
「笑うんだ、そこ」
「自分の間抜けさに笑える」

ケラケラと笑うカンナと、向かい合わせに座りハンバーグ定食を食べる。

テーブルに置いてたスマホが震え、生田さんからの返信を知らせた。

『いーなー！悔しいから今度、ハンバーグ食べに行くの付き合ってね！』

むず痒くなる胸

少し緩んでしまう口元

「あれ？A、誰とやり取りしてんのー！？」
「えっ！？」
「もしかして、魔法使いニノミヤ！？」
「...あ...んー...」

口を噤んだ私を見て、カンナは首を傾げる。

「...え？違うの？」
「うん...違う...」

私はカンナに、ニノミヤを好きでいると疲れてしまう事

そこに現れた生田さんの事を話した。

「そっかぁ...そりゃ迷うよね」
「迷うと言うか...これが正解なんだよねって思うの」
「その、好きって言ってくれてる彼をAも好きなの？」
「...好き...か嫌いかで言えば、好き」

曖昧だなぁ...って、カンナは口を尖らす。

「じゃあ、もう魔法使いの事は諦めちゃうって事？」
「...何かさ、好きだからーってだけで片想いしてるのが幸せなのかって言われると、微妙な年齢なんだもん...」
「A...」

私は、生田さんを好きになろうとしてるんだ。

彼を、ニノミヤ以上に想える日が来るってそう思ってる。

「...良いの？Aはそれで」
「その方が、健全じゃない？女は想われる方が幸せだって言うし！」

私はカンナに笑って見せて

『ハンバーグ、食べに行きましょうね！』

って、生田さんに返信した。