極楽ハニー【ars K.N】 (ページ13)

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13.二度目。ページ13

「待って...じゃあニノミヤ、私が先生の部屋に入ったのも...」
「え？あぁ、知ってたよ？」
「だったら...！」
「何？もっと早く助けろよって？」

そうだけど...

何かそう言うのは、あまりにも無責任って言うか他人任せだと言うか...

自分の浅はかさが招いた事なのに、それをニノミヤに「早く助けに来いよ！！」なんて言うのもお門違いだし...

そう思って黙ってたら

「でも、センパイは仕事するつもりだったんでしょ？ちゃんと、話するつもりだったんでしょ？」
「...まぁ...それはそうだけど...」
「それ、邪魔しちゃ駄目だし。それに...」

言葉が途切れたニノミヤをチラっと見ると、暗い車内で外からの光に照らされた白い横顔が妙に綺麗で

また私の胸がトクン...と鳴る。

「一回位、痛い目見とけばもう二度と同じ失敗はしないでしょ」
「痛い目って...」
「オンナを舐めんな！って気分になってんじゃない？今」
「...まぁ...そうだけど...」

ンフフって笑うと、ニノミヤが「はい、到着」って車を停めた。

気付かなかったけど、私のマンションの前。

「あれ...、そう言えば何で私んち分かったの？」
「こないだタクシーで先下りたでしょうが、アナタ」
「あ、そっか」

身体を捻り、後部座席から靴と鞄を取る。

助手席でパンプスに足を入れてると、ニノミヤが「ホントはさぁ...」って呟いた。

「すぐに助けなかったのは、その方が格好良いかなーって思ったから」
「...はぁっ！？」
「ほらー、ヒーローは遅れてやって来る！！って言うじゃん。あれあれ！」

あー、あれねぇ！...じゃねぇよ！！

こっちはヤられかけたわ！！

「だけどさ、ホント良かったわ」
「何がよ、何も全然良くないけど！」
「...センパイが何もされてなくって。ギリギリだったね、さすがにあの状況目の当たりにすると焦った。もっと早く助けるべきだったって...」
「そうだよ！何がヒーローなのよ！」

フザけた調子で言ったのに、ニノミヤはいつもの憎まれ口調を出さない。

「...ニノミヤ？」

ニノミヤの手が、スッと私に伸びて来る。

その指が、顔に掛かってた髪を撫でるように払って頬をスルリと滑る。

「もう、絶対あんなコトしないでよ...センパイ。危なっかしいな...」

二度目の『トキメキ』は、『コイゴコロ』なんて厄介なモノまでオマケに付けて来た。

遅れてやって来たサディスティックなヒーローに、私は簡単に恋しちゃったんだ。