コイカゼ・ダイブ 3rd【ars M.A】 (ページ8)

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78.ムカシ・ソレハ。ページ8

昨日のテレビ番組の話とか、色んな雑談しながら
ドーナツを食べ終わって、カフェオレを二回ずつおかわりして

もう帰るのかな...って思った時に、相葉先輩が私の手首をジッと見てる事に気付いた。

私の手首には、先輩から貰ったシュシュ

何か恥ずかしくて慌ててテーブルの下に手を下ろしたけど、もう遅い。

「ねぇ、Aちゃん。何で手首に付けてんの？髪にしないの？」
「あ...」

さすがに「いつでもシュシュが見れるように！」なんて言えない。

「朝...時間無くて...学校で結ぼうと思ってたんですけど面倒で...」
「そーなんだ。朝、時間無いよねー」
「そーなんです...」

私は取り繕うように三回目のおかわりを、お店のお姉さんに頼んだ。

「あ、ねぇAちゃんってさ、三つ編み出来る？」
「え？...出来ますけど...え？」

突然の相葉先輩の質問に首を傾げてしまう。

「ねぇ！教えて！あれどーなってんの？」
「...え？教える？」
「うん！Aちゃんの髪を三つ編みしても良い？」
「...えっ！？...なっ...なんで...っ！？」

思わず顔のサイドに下ろしてる自分の髪を、両手でギュッと握ってしまう。

「クラスの女子が三つ編みしてて、あの仕組みが不思議でさぁ。今日のホームルームの時に翔ちゃんの髪でやってみたんだけど...」
「櫻井先輩で...？」

髪、短くない？

「髪が足りなくて、よくわかんなくて」

うん、そーだと思う。

「しかもニノちゃんに怒られたし」

また怒られたんだ。

相葉先輩が向かい合わせの席から、ソファの私の隣に移動して来た。

そしてポニーテールをしてくれた時のように私の肩をクイッと掴んで、後ろを向かせて

髪にスルスルと手櫛を通し始めた。

「手順、教えて！」
「てじゅ...えっと...髪を三つの束に分けて...」
「うんうん...うん、分けた！」
「そしたら...あの...外側の束を真ん中から下に通して...」

ワタワタした説明をうんうんって聞きながら、先輩が私の髪を編む。

「それを...繰り返すんです...」
「なるほど...あっ！見えて来たー！すっげー！」

少し後頭部が引っ張られる感覚

胸がドキドキどころか、バクバクしてて死んじゃいそう

「あ...そー言えば翔ちゃんの髪編んでて怒られた時さぁ、ニノちゃんに言われたんだけどね」
「...はい」
「髪を触る行為は昔だと、せっ......あっ！えっと...ううん！何でも無い！」
「え？」

チラッと振り返ると

先輩は、何でも無い無い！って首をブンブン振ってた。