コイカゼ・ダイブ 3rd【ars M.A】 (ページ28)

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98.ジャ・ナクテ。ページ28

「潤ちゃんですか！？」

昨日私が接した人の中に、ふわふわの髪でオシャレで大人の男なんて潤ちゃん以外に居ない。

そうだ...潤ちゃんは『すっげぇイケメン』なんだった。

「潤ちゃん...って言うんだ、彼氏」
「やっ...！ちがっ...」
「え？」
「潤ちゃんは、もう30歳で...あ、違う、こないだ誕生日だったから31歳か...」
「...大人なんだ」

違う！
年齢なんて、どうでも良いんだ！私が言わなきゃダメなのそこじゃない！

「幼馴染なんです！」
「幼馴染なのか...」
「ちがっ...そうじゃ無くって...あっ！潤ちゃんはもう結婚してて！」
「えっ！？...Aちゃん、まさか...駄目だよ、それは...」

違う！
先輩、今絶対にとんでもない勘違いしてる！

「違います！潤ちゃんは31歳になる幼馴染みで、綺麗な奥さんも居て、お兄ちゃんみたいな人です！不倫なんかしてませっ...ぁっ...」

『不倫』なんて言葉を先輩の前で言ってしまったのが恥ずかしくって、俯いてしまう。

「...彼氏なんかじゃ...ありません...」

俯いたまんま、恐る恐る相葉先輩を見ると先輩は大きな掌で口元を覆ってた。

「...俺、もしかして...勘違いしてた？」
「...潤ちゃんを彼氏だと思ってたなら...はい...勘違いです」
「マジで...うわっ、ごめん！感じ悪かったでしょ！？俺、めっちゃ感じ悪かったよね！？うっわー...」

ごめん...って、先輩が頭を下げる。

「彼氏が居るなら、俺はAちゃんと喋ったりしちゃいけないって思って...」
「え...？」
「だってさ、ほら、嫌じゃない？自分の彼女が違う男と喋ったりさ...してるとさ...」

困ったような表情で話しながら、先輩がもう一度私の方に近付いて来た。

「彼氏じゃ無かったんだ」
「はい...、あ、前に話した事のある三十路の幼馴染みです」
「あ！言ってたね！...ってゆーか、あの人31歳なの！？どーなってんの！？めっちゃ若くない！？」

今迄みたいに笑ってくれた相葉先輩に、心がムズムズする。

心底ホッとして、今度はさっきと違う涙が出そうになって、やっぱり唇を噛んで我慢した。

「あ、31歳と言えば...」
「はい？」
「ニノちゃんもだよ」
「......えぇっ！？」
「ねー、どーなってんだろうね？最近の大人は」

ケラケラと笑う先輩と一緒に笑えるのが、すっごく嬉しい。

嬉しくって嬉しくって、やっぱり泣きそう。

哀しくても嬉しくても泣きそうになるなんて、恋すると涙腺がバカになっちゃうのかな。