コイカゼ・ダイブ 3rd【ars M.A】 (ページ24)

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94.ニドメノ・ヤキソバ。ページ24

教室に戻ると、大野先生が何故かゾンビの一員になってお客さんを驚かしてはケラケラ笑ってた。

「先生、何してるんですか？」
「え？お化けしてんの！」

楽しそうな大野先生は、男子に混ざると違和感無くて

この人も二宮先生と同じくらい年齢不詳だな...と思う。

「あ、もーお客さんも減って来たし、女子は化粧落として着替えてて良いよぉ！後はおれと男子に任せといて！」
「やった！ありがとうございます！」

受付に座ってたトモちゃんに声を掛けて、トイレでお化けメイクを落として更衣室で制服に着替えた。

「やっと人間に戻れたー！」
「アハハ！トモちゃん、言い方！」
「やっと櫻井先輩んとこ行ける！」
「えっ！？」

ニッと笑ったトモちゃんが、私の腕にギュッと絡み付く。

「今日、櫻井先輩来てるんだよね？焼きそば屋さん！」
「え...うん...まぁ...」
「相葉先輩も居るでしょ？一緒に行こうよ！」
「うん...でも、トモちゃん...良いの？」

あの日櫻井先輩に失恋してから、トモちゃんの口から先輩の名前が出て来る事は無くて

やっぱりまだ傷は癒えないのかな...って思ってたから、その言葉にビックリした。

「失恋したって、カッコイイもんはカッコイイもん！私のアイドルなの、櫻井先輩は！」
「...そうなの？」
「うん、そうそう！目の保養ー」
「山田くん、ヤキモチ妬かない？」

はっ！？っと、トモちゃんは目を真ん丸にして「まだ全然そんなんじゃないし！山田、面倒だし！」って真っ赤になってる。

「まだ、ね？フフッ、トモちゃんってばー」
「えっ！？え...ちょっともう...やめてよ！」

パチンと、私の肩を叩くトモちゃんはどこか嬉しそうで

私も嬉しくなった。

「Aはもう食べた？相葉先輩の焼きそば」
「うん！美味しかったよ！相葉先輩、凄いと思った！」
「えー！？楽しみー！」

二人で3年A組に向かうと、中からソースの良い匂いが漂って来る。

今度は誘えるかな...後夜祭、一緒に...

トクントクン、胸が鳴る。

「いらっしゃいませー！あ！大坂さん、また来てくれたんだ！トモちゃんも、いらっしゃい！」

さっきと同じように黒いタオルを頭に巻いた櫻井先輩が、出迎えてくれた。

トモちゃんは先輩が「お席ごあんなーい！」って背中を向けた瞬間、私に「やっぱりちょーカッコイイね！」って小声で訴えて来たけど

「うん...」って上の空で応える私は、俯いて焼きそばを炒めてる相葉先輩から目が離せないんだ。