コイカゼ・ダイブ 3rd【ars M.A】 (ページ13)

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83.コンイロ・モエソデ。ページ13

秋が深まって来て、だんだん風が冷たくなって来た。

朝、家から最寄駅まで歩いてると時々「寒い」って感じる。

電車も冷房じゃなくって、暖房がついてるみたいでそれは逆に「暑い」って感じる。

朝の電車は大抵座れないから、扉横に立って外を眺めながら眠気と闘ってるのが日常。

たまに立ったまんま寝てしまってドアにゴツンとオデコをぶつける事もある。
そんな姿、絶対に相葉先輩には見られたくない。

車内に、他校の男子生徒もいっぱい乗ってるけど

やっぱり先輩が一番格好良いなー...なんて思って、ニヤけてしまう。

最近は先輩のニットベストがカーディガンに変わった。

色はやっぱり紺色で、胸に赤いお馬さんのマークが入ってる誰もが知ってるブランドの物。

思わず私も同じカーディガンが欲しい！って思ったんだけど、さすがにそれは気持ち悪いかな...って思ってやめといた。

でも色だけでも...って思って、私もセーラー服の上に紺色のカーディガンを着てる。

...ファストファッションの安いヤツだけど。

相葉先輩の萌え袖、可愛いんだよねぇ...そんな事を考えてる私の目の前のガラスにポツリと水玉が出来た。

「...え？」

その水玉はどんどん増える。

ポツリ、ポツリ

そして、ツーッっと横に流れて行く。

「...うそ...」

今日雨降るって言ってた？
お母さん、何も言わなかった！

天気予報...こんな時に限って寝坊しちゃって見てないよ...

駅に着いたら止んでないかな？って思いながら電車を降りたけど、駅前はシトシト雨降りだった。

「傘...買おうかな...」

屋根がある所から出られなくって、そこにあるコンビニに行こうとした時向こうから歩いて来る二人に気付いた。

１人は黒いカーディガン、一人は...紺色のカーディガン

「あ、大坂さん」
「あ！おはよー、Aちゃん」

櫻井先輩が私を見て「あれ？傘は？」って訊く。

「...無くて...だから、買おうと思ってるんです」

コンビニを指差して言うと「勿体ないな...」って呟いた櫻井先輩が「なぁ、雅紀」って相葉先輩の肩をポンポンと叩いた。

「学校まで雅紀の傘に入れてってあげれば？」

...えぇっ！？

相葉先輩の傘...って、それって...相合傘...！？

「あ、そうだね。Aちゃん、入って行く？」
「え...でもっ...」
「まぁ、遠慮せずにどうぞ！」

ポン、とビニール傘を開いた相葉先輩がニッコリ笑う。

その向こう側で、櫻井先輩がピースして笑ってた。