コイカゼ・ダイブ 3rd【ars M.A】 (ページ12)

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82.ヘンナ・センセイ。ページ12

「あのね、Aちゃん。ホントに変な意味は無くって、ニノちゃんって変な人だよね？って話がしたかったの！」
「はぁ？お前今、何つった？」
「ニノちゃんは変な人」

すごい！
私も思ってた！相葉先輩と同じ事思ってた！

二宮先生は変な人！

「オレのどこが変なのよ。すげぇ常識人だし、賢いし、美青年だし」
「...今の発言がもう、変だよ」

もー良いから、ニノちゃん黙ってて！ってムゥッとむくれた相葉先輩が「だってね！」って私を見る。

「だって俺、翔ちゃんと遊んでただけだよ？男同士にそんな事言うの変でしょ？」
「フフッ、そうですよね」
「だからその話がしたかったんだけど...ほら...えっとぉ...」

相葉先輩が私から目を逸らしてモゴモゴ口ごもった。

「際どい言葉を大坂に言っちゃいそうになったから焦ったんだろ？セック...」
「あーーーっ！！ニノちゃん、バカッ！！それでも教師！？」
「何をかわい子ぶりっ子してんのよ。男子高校生の脳みそなんて、そんなコトでいっぱいだろーが」

ほらほら、次の授業始まるだろ？教室戻れ！って、先生は椅子から立ち上がりソファの前まで来て

右手で私、左手で相葉先輩の手首を掴んで立ち上がらせた。

「俺、頭ん中そんなピンクじゃないし」

立ち上がると二宮先生を完全に見下ろす形になる先輩が、ちょっと偉そうに顎を上げて言う。

「それもそれである意味問題だけどな」

ククッと笑った先生が、相葉先輩のお腹をポコンとグーパンチした。

「いって...あっ！ニノちゃん、文化祭の模擬店、許可下りた？」
「それより、お前は進路調査書をいい加減出せ。話はそれからだわ」
「出すよ！出すから、ねぇ文化祭...」
「相葉はホント楽しいコトだけ頑張るよなぁ。ま...でもそれも正解だと思うわ。後悔はしねぇもんな」

ちょっと昔の事を思い出したように、先生は苦い笑顔を見せた。

相葉先輩と部屋を出ると、すぐにお互い逆方向に向かわなきゃいけない。

もっと一緒に居たいな...って思ったけど、もう休み時間も終わっちゃう。

「じゃあね、Aちゃん」
「あ、はい」
「あ...えっと、ごめんね？変な事言おうとしちゃって...」
「...えっ！？いえっ、あのっ、大丈夫です！全然...あのっ...はい...」

国語準備室の前で先輩と向かい合ってたら、ドアがガラッと開いて教科書を小脇に抱えた二宮先生が出て来て

「ンフフ...まだ居たのかよ。遅刻すんぞ？ほら、急げ！」

呆れたように微笑んだ。