コイカゼ・ダイブ【ars M.A】 (ページ3)

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3.タイイクノ・ジカン。ページ3

ポコン、と頭に軽い痛み。

ビックリして顔を上げると、二宮先生が丸めた教科書でもう一発ポコンと私の頭を叩いた。

「よそ見してんなよー？」
「あ...ごめんなさい...」
「何見てんのよ」

私の机に両手をついて、窓から校庭を見て先生はニヤリと笑う。

「眩しいなぁ、あの髪の色」
「えっ！？」
「ほれ、ここ読め」
「あ...はい...」

金曜の五時間目。

私の大好きな時間、うちのクラスは現代国語で二宮先生がやって来る。

言われた部分を立ち上がり朗読して

「はい、そこまでで良いよ」

先生の言葉で着席した。

さっき注意されたばっかりだから、校庭を見辛くて、でも見たくてソワソワしてしまう。

「翔ちゃーん！ボールそっち行った―！！」

窓の外から、相葉先輩の声が聴こえてドキドキしてもっとソワソワする。

二宮先生が板書を始めたのを見計らって、校庭を見るとゴールを決めたらしくって相葉先輩が嬉しそうに皆と抱き合ってる。

もう！先生のせいで先輩のゴール見れなかったじゃん！なんて全然悪くない二宮先生のせいにして

でもはしゃいでる相葉先輩を見てると、そんなのどうでも良い位私まで嬉しくなって来た。

「まーた相葉先輩見てたの？先生に注意までされちゃってさー」

授業が終わって私の席まで来たトモちゃんが、まだ片付け中の先輩達を見下ろしながらちょっと呆れたように笑う。

「だって格好良いんだもん。目が離せない！」
「相葉先輩のどこがそんなに良いんだろ？絶対に櫻井先輩の方が良いと思うんだけどなー」

ほら、可愛い！ってトモちゃんが相葉先輩の横で大笑いしてる櫻井先輩を指差した。

「櫻井先輩も格好良いけど...」
「だって相葉先輩って問題児なんだもん。それに引き替え、櫻井先輩の品行方正・容姿端麗・頭脳明晰な感じ！」
「問題児なトコも格好良いの！」
「あー、Aってダメ男に引っ掛かるタイプだわー」

相葉先輩はダメ男なんかじゃないー！って騒ぎながら二人で校庭を見てたら

相葉先輩が体操服をガバっと脱いだ。

「うわぁぁぁ！脱いだーっ！！」
「ヤバーイ！櫻井先輩も脱いで脱いでー！！」

次の瞬間、櫻井先輩も体操服を脱いでブンブン振り回し始めて

その体操服が相葉先輩に当たって、二人でパシパシと体操服をお互いに当てて遊び出した。

「...良いモン見たね、トモちゃん...」
「うん...白ご飯三杯はいける...」

私達は、きっと

何の変哲も無い毎日にちょっとでも良いから刺激が欲しいんだ。