コイカゼ・ダイブ 6th【ars M.A】 (ページ20)

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195.ソノ・ホウコク。ページ20

「うそっ！？チュウされたの！？」
「ちょっと！トモちゃん、声がおっきい！！」
「あっ...！ごめん、でもだって！Aー！！」

月曜日の学校、着いてすぐにトモちゃんに先輩との事を報告した。

案の定トモちゃんは大興奮で、私の肩をユッサユッサ揺らして来る。

「もー...どうしよー、私まで胸いっぱいだよー」
「フフッ、トモちゃんが何でー」
「だって、あの相葉先輩だよ！？Aがずっと好きだった人なんだよー...泣けるー...」
「やだー、トモちゃーん」

トモちゃんの机を挟んで向かい合わせで座ってた私達は、手を取り合った。

「で？A！感想は？」
「え？感想って言われても...」
「もー、ファーストキスなんでしょー？」
「あ、待って待って。ファーストキスって...それってやっぱり口と口...だよね？」
「そりゃそうでしょ...え？何で？」

トモちゃんが眉を顰めて「え？」って顔を近付けて来る。

「...ほっぺと...オデコ...」
「...え？」
「キスされたの、ほっぺとオデコ...なんだよね」
「...えー！？」

近付けてた顔をガバっと離して、今日一番の大声を出すトモちゃん。

「そんなに驚く事じゃ無いでしょ！？」
「驚くって！だって相葉先輩だよ！？あんな格好良くって不良っぽいってゆーか、不良な人が...」
「だから先輩は別に不良じゃないってば」

髪の色はあれだし、学校にも来たり来なかったりしてたけど。
私の思ってた「不良」と、先輩は全然違うもん。

「まさか、あんな感じだけど先輩って奥手なのかな」
「奥手？...え、そんな感じには思えないんだけど...」

奥手な人が、あんなに女の子をドキドキさせられるのかな...

「だって、山田はすぐだったよ？すぐチューして来たよ？」
「あ...あ、そっか...そうだったね」

そう言えば、２人は付き合ってすぐチューしたって言ってた。

「もう18歳の先輩が、経験無し...ってコトは無いよねぇ...」
「無い...と思う」

私の前に誰かとチューしてたのかな...なんて考えると、何だか悔しいにも似てる変な気持ちになって泣きそうになるんだけど...

「もしかして、Aに合わせて我慢してんのかな」
「え？」
「だってAは恋愛経験無いの、ミエミエだし」
「ちょっとトモちゃん、それって悪口ー？」
「違うよー！純粋そうで可愛いってコト！」

2人でケラケラ笑ってたら「席着いてねぇ」って緩い声を共に、大野先生がHRをする為に教室のドアを開いた。

「我慢」って言葉が、妙に耳に残った。