コイカゼ・ダイブ 6th【ars M.A】 (ページ18)

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193.フレタ・オモイ。ページ18

二人でベンチに並んで座りホットドッグを食べて、やっぱり口の端っこにケチャップが付いてる先輩に

「付いてますよ」って、自分の口の端を指差しながら言うと

先輩はペロッと舌を出して、口の周りを舐めた。

「取れた？」
「あっ...は...い」
「ん？」
「あっ、何でも...無い、です」

何か色っぽくて

何かすっごく男の人って感じがして

何か、何かえっちに見えてドキドキしただなんて言えない。

私はもしかしたら、いやらしい女子なのかもしれない...どうしよう！

こんなの相葉先輩に知られたら、嫌われちゃうよ！

「Aちゃん？」
「えっ！？あっ、はいっ！」
「フフッ、どしたの？何か変だよ？」
「あ...えっと...あ！お猿さんが見たいです！」

ガバッと園内マップを開いて、お猿の絵が描いてある猿山を指差す。

先輩が「どれー？」って私の開いてるマップを覗き込むから、サラサラの髪の毛が私の髪に触れた。

「あ、猿山行く途中にライオンも居るみたいだよ」
「ラッ...ライオンも見たいですっ！」
「じゃー、ライオン見てーお猿！行こっ！」

ベンチから立ち上がった先輩が、手を差し伸べてくれる。

その手を握るとグイッと引っ張って立ち上がらせてくれて、すぐに指がスルッと指の隙間に滑り込んで来た。

「ライオンちゃーん！」

ライオンの檻の前で、寝そべってるライオンに向かって手を振る先輩。

「でっかいね」
「おっきぃですね」
「強そー。さすが王様。でも寝てるなー」
「寝てますねー」

なかなか起き上がってくれないライオンを暫く眺めてから、私達は猿山へ向かった。

猿山には、ニホンザルがいっぱい居る。

「あっ！子猿！」

先輩が指差した先には、小さい小さいお猿さんがお母さん猿に抱っこされてた。

「わぁ！可愛い！」
「可愛いねー。あ！あっちの2匹はちょー仲良さそう」
「あー、ホントですねー！」

2匹のお猿さんが、寒いからか寄り添うように抱き合ってる。

「ラブラブだね！」
「フフッ、そうですね」
「でも俺たちの方がラブラブだよね」
「...え？」

隣を見上げると、ちょっと唇を噛んだ先輩が笑って

繋いだ手の甲を、指でトントンと二回ノックした。

ドキッとして、恥ずかしくて、慌てて俯くと

先輩の身体が近付いて来て

ふわり、頬に何かが触れた。

それが先輩の唇なんだって気付くのに時間は掛からなくて

「...あのお猿に見せつけちゃった」

照れ臭そうに先輩が言った時

私の心臓、壊れちゃいそうだった。