空想男子アディクション【ars】 (ページ8)

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■BURST!【A】ページ8

完璧だなと思う。

パっと見て、単純にルックスが良い。
良い、なんてモンじゃ無い。
ちょっと常軌を逸してる。

顔もスタイルも良い。
まるでモデル。

そんな人、性格が悪いに決まってるー！...と思いきや。
ところがどっこい、性格も良い。

お婆ちゃんがたくさん荷物を持ってたら、自分が持ってあげるような
チビッコがこけたら、抱き起こして頭ナデナデしてあげるような
道に迷ってる人が居たら、一緒に目的地まで行ってあげるような

そんな漫画みたいなコトをホントにやってしまう、優しい人。

そして9時5時の会社勤めでは無いけれど、とっても仕事のできる人。
責任のある役職に就いてる。
海外出張も、よくある。
英語は話せないみたいだけど。

仕事柄、オシャレだし話も上手い。
人懐っこくて、誰にも嫌われない。

加えて言えば、運動神経も良い。
走るのめっちゃ速い。
足が速い子は、小学生の頃だとヒーロー。
きっと彼は、その頃からずっとモテモテ人生を送って来たに違い無い。

そう。
彼は、完璧。
こんな完璧な人、初めて出会った。

ただ、ひとつだけ問題がある。

それは、彼の過去。

奔放すぎる女性関係。
自由すぎる恋愛理念。
緩慢すぎる貞操観念。

彼は所謂『遊び人』だった。

女の子大好き。
アソぶの大好き。
気持ち良いコト大好き。
後腐れの無い、お互い割り切った楽しい関係を！

そう。
彼は、セ○レがいっぱい居るような男の子だった。

『だった』って過去形なんだから良いだろうって思われるだろうけど

私だって、そう思ってたんだけど

好きになればなる程、過去まで気になってしまうのは...もう恋愛のサガだと思う。
病気みたいなモンなんだ。

だけど、いつかまた彼がその頃の彼に戻ってしまったらどうしようって不安になって

その度に絶対に彼は変わったんだから！って自分に言い聞かせて

実際、彼も私を大切にしてくれてるって思うし大丈夫！って思うんだけど...

「...ハァ...もう...」

私は掌の上に乗ってる、綺麗な色と可愛いホログラムが着いたネイルチップを見つめる。

私はネイルチップなんか使わない。
彼だって使うはずが無い。

じゃあ何で彼のベッドの下からこんなモンが出て来たのか。

答えは簡単、私じゃ無い誰か他の女の子が落としたから。

「お前はいつからここに居たんだい？」

私は誰も居ない彼のベッドルームで、ネイルチップに話し掛けた。