空想男子アディクション【ars】 (ページ38)

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雅紀くんが私から取り上げたレッドブルを、また冷蔵庫に片付ける。

「カフェイン摂取し過ぎは良くないんだよ？亡くなった人も居るんだから」
「あー、それネットニュースで見た。怖いよね」
「見たの？だったら、何で飲むの」

何か、ちょっと怒ってる。
この顔は怒ってる。

「だって、1日に1本しか飲まないようにしてるし...ちゃんと節度は守ってるよ？」
「そんな事訊いてない。何で飲むの？って訊いてるんだよ？」
「...眠いんだもん...」

雅紀くんはお昼寝してたけど、私はずっと起きてたし...って私の勝手なんだけどさ...。
これから仕事だと思ったら、エナジードリンクでも飲まなきゃ頑張れないってゆーか...。

「眠いなら俺と一緒に寝たら良かったのに...暇だったでしょ？」

寝顔が見れるチャンスなのに、寝るなんて勿体無い！なんて言えるはずが無い。

「Aちゃん、最近毎日飲んでるでしょ」
「...うん」
「せめてさ、本当にしんどい時だけにして欲しいな」
「.....」

大袈裟だなぁ、って思う。
だってそんな有害な物を売ってるとは思えない。
そりゃ、興奮作用とかはあると思うけど用法用量を守れば問題無いに決まってる。

だけど

「じゃなきゃ、俺が心配しちゃうの」

そんな風に言われると、やっぱり心地が良いんだから。

「あのニュース見てからさぁ、Aちゃん、すげぇ飲んでたらどうしようって心配で」
「うん」
「朝も昼も夜も飲んでたらヤバイんじゃない！？って思ったしさぁ...」
「フフッ、そんなに飲まないよ」
「そうなんだけど、分かんないじゃん。すっげぇ疲れてガバガバいってたらどーするの！って」

もう...って呟いた雅紀くんが、ギュウって私を抱きしめる。

「俺、過保護？」
「うん。過保護」
「ごめんね」
「困るなぁ」

なんて言ってるけど、私ニヤニヤ止まらない。
良かった、抱きしめられてるから顔を見られる事は無い。

って思ってたのに

「なぁに笑ってんの？」

私の両肩に手を掛けてグイッと身体を離した雅紀くんが顔を覗き込んで来た。

「フフッ、しんどい時だけにしとく」
「うん。約束ね」
「はい」

私が頷くと、雅紀くんはニコッと笑って「ねぇ、仕事休む？」ってまた言う。

「休みません！」
「だよね」

右頬をキュッと上げた彼にキスされて、あぁもう、休もうかしら...って思う私に

「眠気覚めた？」

そう言った雅紀くんが、楽しそうにまた私のほっぺをキュウっと甘く抓った。

・・・END『WARNING!』・・・