空想男子アディクション【ars】 (ページ34)

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「普通はオンナノコって結婚式なんて自分の夢を詰め込みたいと思ってんじゃねぇの？」

ニノミヤが、優しい顔でククッと笑う。

「良いの？Aの夢、せっかく叶えられるんだよ？」
「良いの。...ってゆーか、夢よりも今の願いを叶えたいなって思ったから」
「......」
「私がカズの和装を見たいってゆーのもあるし」
「あ、そうなの？」

うん、と頷くとワシャワシャと頭を撫でられた。

「まぁ、オレも教会式ってちょーっと恥ずかしいかなーと思ってたしな」
「恥ずかしい？」
「うん。誓いのキスっての？ンフフ、親の前でキスなんて出来ねぇよ！って思ってた」
「アハハッ！確かにそうだね、冷静になると親の前なんだよね」

テレビから流れてたスポーツニュースは、いつの間にか終わってる。
ニノミヤが、リモコンを手にしてテレビを消した。

部屋が、静かになる。

何だか、妙に照れくさくなって「カズは和服の似合う和風の顔だよね」なんてちょっと憎まれ口。

「どっちかと言えば、Aもだけどな」って、鼻を摘まれてフガッてなったら、ゲラゲラ笑われた。

「披露宴の時はドレス着てね」
「...え？」
「オレの夢。大好きな人のウェディングドレス姿を、大切な人達に見せたい」
「......」
「し、オレも見たい。Aのドレス」

ニノミヤの指が、私の頬に触れてそのままツーッとその指が首に下りて来る。

「首元が詰まってて」

肩を滑る指

「袖はレースでさ」

手首まで降りてきた指は、私の指を絡め取る。

「クラシカルでシンプルで、でもトレーンは長くて後ろ姿は華やかで。ね」
「...凄い...何で分かるの？私もそんなドレスが着たいと思ってた」
「やっぱり？だって、雑誌のドレスページに赤ペンで丸してたもんね」
「あ！何だ、だから分かったのか！ビックリしたー」

本当はやっぱりエスパーなんじゃないかと思ったよ。
でも「エスパーなんです」って言われても、何となくスンナリ受け入れられる気もする。

「じゃあ、神前式できる神社探さなきゃな」
「うん、そうだね」
「その神社の近くに披露宴できそうなトコがあるか...神社内にそーゆー場所があるトコもあるよなぁ...」

少し唇を尖らせて何かを思い出してるかのように、視線を上げたり下げたりしてる。

「ん？どした？」

ニノミヤをジーッと見てる私を見て、緩く口角を上げるその表情が

あぁもう、ムカつくなぁ。

......好き。