空想男子アディクション【ars】 (ページ33)

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タキシードだって、間違いなく似合う。

だって、一歩間違ったら893になってしまいそうなスーツさえ着こなしてた。
蝶ネクタイだって、似合うに決まってる。

だけど、空飛ぶ絨毯に乗りたがってる純日本人なニノミヤにはきっと和服が絶対に似合うと思うんだ。

薄めで綺麗な顔と和服...相性悪い訳が無い！

だってちょっと想像してみて？想像してみて？

......ほらっ！格好良い！
想像だけで興奮してる自分に、私やっぱ頭おかしいなって思うけど、格好良いでしょ、絶対！

「オレのコトは別に良いよ」

なのに、ニノミヤは興味無さそうにフッと笑う。

「結婚式は女の子が主役なんだから。誰もオレのコトなんて見ないし、Aが好きな物を着てくれたら良いのよ？」
「違うよ！」
「え？」

突然大声を出した私に、彼は目をパチッと開いた。

「カズを見てないなんて訳無いでしょ！」
「......」
「カズの素敵な姿を、相葉さん達やご親族やカズの...大切な人達に見せたいんだよ...」
「A...」
「あっ！いや、別にタキシードだと素敵じゃないって訳じゃなくてね！？えっと...」

言い方間違えたー！

これじゃあ、和服しか似合わないよアンタ、って言ってるみたいじゃない！？
んな訳ない！
何でも似合う！とか、恥ずかしくて言えないけど！

「カズのお母さんやお父さんはね、カズの一生に一度の晴れ姿を楽しみにしてるだろうから...」
「それはAんとこだって同じだろ？」
「あ、うちはね！私が結婚するってだけで喜んでるの！私を嫁にしてくれたカズにすっごい感謝してるんだから！」

だって私、お見合いまでさせられそうだったんだから！
結婚するって報告した時、ちょっとドン引きする位にうちの両親は喜んだ。

父親が娘の結婚に万歳するって...想像と違ったんだけど。
もっとこう...さめざめと「そうか...」なんて男泣きでもするかと思ってたのに、まさかの「バンザーイ！」だったからね。

「だからね、正直私なんてどーでも良いの。むしろカズを主役にしたい！」

捲したてるように言った私を見て、ニノミヤの目尻がキュッと下がった。

「フハッ！もう、お前ムカつくわー」
「えっ！？」

ムカつく！？
何故！？タキシード似合わないみたいな言い方したから！？

「そーゆーとこが腹立つくらい好きなんですけど。何なの」

彼からの言葉が予想外過ぎて、私はきっと変な顔になってるんだろうな...と、綺麗に微笑むニノミヤを見て思う。