空想男子アディクション【ars】 (ページ32)

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■ハニークローズ【N】ページ32

「会見の時、どんな挨拶しよっかなー」

ニノミヤがラグの上に腹這いに寝転んで、両手で頬杖つきテレビを観てる。
時々、ローテーブルに置いてる缶ビールに手を伸ばす。

腹這いで飲むって...結構しんどそうだけど、慣れてるのか美味しそうに飲んでる。

テレビの中では、スポーツニュースを可愛いお姉さんがお伝え中。

「会見...って、え、誰の会見？」

ソファに座ってた私は、当然のように彼に問うた。

だって会見って何。
会見って著名人や問題を起こした人なんかがやる、アレだよね？

「オレの会見」

私の認識上では、ニノミヤって周りよりは多少目立つとは言え一般人のはずなんだけど。

「...え...？何の？」
「入団会見」
「...は？」
「今年もドラフトの季節がやって来たなー！指名されちゃったらどーしよー！」

クフフーッて笑ったと思ったら、ゴローンってひっくり返って「巨人からのご指名を毎年待ってんの」なんて言ってる。

別にニノミヤは今、草野球だってやって無いのにどーしてこんな事を言い出すのか

すごく謎で、頭おかしいのかなー？なんて思うけど、でもそれがニノミヤらしいと言うか...そんな所すらも可愛いと言うか。
私もたいがい、頭がおかしい気がする。

「はいはい。そーだね、指名されたら良いねぇ」
「オレが野球選手になっちゃったら、遠征でなかなか会えなくなるね。寂しい？」
「そーだね、寂しいね。ねぇ、そんな事よりさぁ...」
「そんなコトって！オレの人生の節目の話をしてんのよー？」

またゴローンって、今度は腹這いに戻る。

「私の話もカズの人生の節目の事だよ？」
「え？ドラフトより？」
「もう少し現実的な事かなぁ」
「何？」

興味を持ったのか、ニノミヤがラグから立ち上がり私の隣に座った。

「結婚式なんだけどね」
「うん」
「和装が良いなぁ...と思って」
「和装...って事は、神前式ってコト？」
「そうそう」

彼が少し眉間に皺を寄せる。

「何で？A、教会で挙式するのが夢だったんじゃないの？」

ニノミヤがそう言うのも無理は無い。

私は、昔から荘厳でクラッシックな教会で挙式したいと思ってた。
結婚が決まってから私が探してたのは、そーゆー教会や式場だし。
フランスにある憧れの大聖堂に雰囲気が似てる所が無いかな、って。

「A、何で神前式？」
「和装、良くない？」
「ドレスじゃなくて？」
「うん。だって、カズには和服が似合うと思うから」

そう言うと、ニノミヤは「オレに？」って首を傾げた。