空想男子アディクション【ars】 (ページ4)

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「一緒に暮らすでしょ？」
「...え？」
「暮らすよね？」

断る理由なんて、無くって

「...え？籍入れるまでは同棲無理って感じ...？」
「......」
「あの...A？」

でもちょっと焦ってる顔が可愛くて、ついつい意地悪してしまうのは

いつも意地悪されてるから、その仕返し。

「無理はさせられないけど...嫌だ？」
「フフッ」
「何、笑ってんのよ。ンフフ」

だけど結局ニノミヤが焦った顔を見せるのなんて、ほんの一瞬で

次の瞬間には、余裕綽々な顔になるんだ。

「返事、聞いても良い？」

小さく、何度か頷くと

ニノミヤはちょっとだけ、また真剣な表情になった。

「あの...不束者ですが...」

フッ、って笑った彼の目が細くなる。

「私と一緒に、暮らして下さい」

私が言い終わると同時に、「喜んでー！」って言ったニノミヤに握られてた両手を引っ張られてソファから落ちた。

「うわっ！」
「おっ...と！」

ラグの上に、ニノミヤを下敷きにして倒れ込む。

仰向けに倒れてる彼が「ちょっと喜び過ぎちゃった」って照れ臭そうに笑った。

「ねぇA？」
「ん？」

下から伸びて来た手が、私の髪を梳く。

「式、終わったら新しい家探そうな」
「......」
「ここ、1LDKのくせに家賃高いし。こんな都会のマンションじゃなくって良いしもっと部屋数あって、近くに安いスーパーがある家にしよ。そうだ、車も買い換えるよ。維持費かかるし」
「...え、でも...」
「Aが奥さんになってくれるんだから。オレ、何の不満も無い」
「......」
「だから何も心配しないで」

心配なんて、元々してないよ。

胸がギュってなる。

「オレについてこい！なんつって」
「...似合わない...」
「うっせ！」

髪を梳いてた手が、背中に回ってグイって抱き締められた。

「...ありがと...カズ」
「こちらこそ」
「モーニングコーヒー、淹れるよ」
「ん。楽しみにしてる」
「ホントはお白湯が身体には良いんだけどなぁ」

白湯かー！って笑ったニノミヤの声が、直接身体に伝わって来る。

「あ、ねぇ」
「ん？どうしたの？」
「ストレートに言わなきゃAは分かってくんないから言うけどさぁ」

少しだけ身体を起こして彼の顔を見下ろすと

「抱いて良い？あ、違うな。抱きます」

そう言った彼が、また私を抱き寄せ

やっぱり可愛くはないキスをした。

・・・END『ハニートーク』・・・