空想男子アディクション【ars】 (ページ26)

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「おー...」

そこにはニノミヤの服が掛けられて、下の空いてるスペースには衣装ケースがキッチリ積まれてる。

服についてるからか、香水が香ってて扉を開けた瞬間に良い匂い。

でも服エリアは綺麗に片付いてるのに、それ以外はまた紙袋に入れられた書類達。

大きなクローゼットなのに無駄に使っちゃってる。勿体ない。

「この紙袋出して行けば良い？」
「うん。それが無くなればAの服とか入れられるでしょ？」
「そうだねー」
「衣装ケース、空いたスペースのサイズ測ってネットで頼んだげる」
「あ...うん。ありがと」

やっぱり、ちょこちょこ優しい。

ズッシリ重い紙袋を出して、またいらない書類のチェック。

それを暫く繰り返して、次の紙袋...と思ったら段ボールが出て来た。

「ねぇ、カズ」
「んー？」
「段ボールも？」
「段ボール？そんなのあったっけ...まぁ良いや。それもお願い」

お願いされたからその段ボールも出して開く。

「......ねぇ、これ私が見ちゃって大丈夫だったやつ？」

自分の整理してた山達が一段落したのか、両手を挙げて伸びをしてたニノミヤに言うと「何が？」って私の隣まで移動して来た。

段ボールの中身を一本取り出して、「これ」と彼の目の前に出してみる。

「あっ！」
「男子高校生ですか」
「いや！違うんだわ、これ」
「なになにー...？団地妻...カズ、こんな趣味だったの？何か意外なんだけど」

段ボールの中からザックザク出て来たのは、所謂オトナのアハンウフンなDVD。

別に「へんたーい！」とか「ふけつー！」とは全然思わないけど、私にバレたらニノミヤが恥ずかしくないかしら...と思っちゃう私は、ずっかり乙女な心が無くなってるみたい。
お母さんの気持ちよ、どっちかと言うと。

「オレの趣味だと思う？団地妻って...偏食過ぎでしょ」

でもニノミヤは特に恥ずかしがってる感じでも焦った感じでも無い。

「これ、全部相葉さんの」
「え？何で？」
「ワタヌキちゃんを堕とす時に、クリーンなマサキになるんだっつって何故か自分のえろDVDをオレに送りつけて来た」
「フフッ、それでクリーンになれるんだ」
「なー、まずリアル世界の女関係をどうにかしろやって思ったけどね」

DVDを一枚手に取ってパッケージを見ながらニノミヤはククって笑うと、ポイっと段ボールに戻して

立ち上がり、部屋を出て行った。

残された私は、とりあえずその段ボールにもう一度蓋をして他の紙袋のチェックを再開した。