空想男子アディクション【ars】 (ページ14)

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誕生日のその日。

何故か今日は「車で来ないでね」と釘を刺されてたから、待ち合わせは駅前。

智くんは両手を後ろに回して、ちょっと眠そうな目で周りを見渡してる。

「智くん、おはよう」
「あっ！来たぁ！おはよ、Aちゃん！」

カジュアルなジャケットでいつもより少しだけドレスアップしてる智くんは、やっぱり素材が良いからキラキラ。

眩しい！

「Aちゃん、お誕生日おめでとう！」

はぁもう眩しい！と思ってる私の目の前に、智くんが背中に隠してた花束をバサッと出した。

眩しさの渋滞。

「うわ...凄い！綺麗！」
「サプラーイズ！」
「ありがとう...ヤバイよ、泣きそう。どーする、智くん。泣いたらどーする」
「泣きたまえ、泣きたまえ」

ふっふーん、って得意げな智くん。

結局サプライズされちゃってる、私。
ビックリして喜んだよ、私。
予告されてたのに。
リアクション出来ないとか思ってたのに。

「それねぇ、潤くんが作ってくれたんだよ」
「フラワー王子！」
「良い感じでしょぉ？Aちゃんに似合う花束作ってって頼んだの」
「嬉しいなぁ...朝イチからクライマックス気分...ここで誕生日終了を告げられても満足...」
「フフフッ、欲が無いねぇ。お嬢様なのに」

周りから、お嬢様っぽさはゼロだと言われます。

「さぁ！お誕生日はこれからだよぉ！」

智くんが私の手を引いて歩き出す。

大きな花束を抱えたまま歩くのは、恥ずかしさと同時に妙な優越感も与えてくれるんだなって初めて知った。

「智くん、今日の服格好良いね」
「これ？相葉ちゃんのお店で選んで貰ったんだぁ」
「そうなんだ！センス良いね、相葉ちゃん」
「ミラクルボーイだからねぇ」

ミラクルボーイ...私、相葉ちゃんはモデルみたいなイケメンって事と花粉症だって事しか知らなかったんだけど、また新しい情報を手に入れた。

ミラクルボーイが一体何なのかは分からないけど。

それからは、智くんが色んな場所に連れてってくれた。

ニノさんがオススメだって言う大きな本屋さんでは、私が「これ、素敵だねぇ」って言った写真集を、店を出た時に「ほい」って渡された。

「いつの間に！？」
「Aちゃんがトイレ行ってる隙に！」
「どうして本屋さんや図書館ってトイレ行きたくなるのかな」
「でもそのお陰でおれ、サプラーイズできたねぇ」

ふふふっ、て笑った智くんに

既にもう今日何回目か分からない胸キュンをする。