額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ9)

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私は、静かに本を閉じて立ち上がり、洗濯物を手に抱え込んで、話に夢中の3人を置いて部屋を出る。

ウィーズリーおばさんが、ここ何日も、洗濯物や荷造りをぎりぎりまで延ばさないようにと、皆んなを急かしていただから。

部屋を出て扉を閉めた途端、トムは首から降りて華麗に黒猫となり、また見事な着地を披露する。そして私のペースに合わせて、後ろからちょこちょこ着いてきていた。

それに笑いかけながら、階段を一段一段ゆっくり、そして慎重に降りていく。

階段の踊り場で、洗濯したての服をひと山抱えて自分の部屋に戻る途中のジニーに出喰わした。

「いま、台所に行かないほうがいいわよ」と、ジニーが警告を発する。

ジニ｢ネバつきがべっとりだから｣

『足を取られないように頑張るよ』と、私はニヤリと笑みを浮かべると、ジニーも満足したように微笑み返した。

私が台所に入ると、まさにその通りで、フラーがテーブルの側に腰掛け、ビルとの結婚式の計画を止めどなく喋っていた。

ウィーズリーおばさんは、勝手に皮が剥ける芽キャベツの山を、不機嫌な顔で監視している。

そんなおばさんに、私は苦笑してしまった。あんなに不機嫌になるだなんて。

当たり障りもなく、面倒事には巻き込まれないようにおばさんに近づく。

フラ｢ビルと私、花嫁の付き添いを2人だけにしようと、ほとんど決めましたね。ジニーとガブリエール、一緒にとてもかわいいと思います。

私はさ、2人に、淡いゴールドの衣装を着せようと考えていますね。勿論ピンクは、ジニーの髪の毛と合わなくて────｣

「ああ、A！」と、ウィーズリーおばさんがフラーの一人舞台を遮り、大声で呼び掛けた。

モ｢よかった、明日のホグワーツ行きの安全対策について、説明しておきたかったの。魔法省の車がまた来ます。駅には闇祓い達が待っているはず｣

『トンクスは来るんですか？』と、私は洗濯物をおばさんに渡しながら、尋ねる。

ア｢いいえ、来ないと思いますよ。アーサーの口ぶりでは、どこかほかに配置されているようね｣

「あのひと、このごろぜんぜん身なりをかまいません。あのトンクス」と、フラーはスプーンの裏に写る素晴らしく美しい自分の姿を確かめながら、想いに耽るように言葉にしていた。

「ええ、それはどうも」と、ウイーズリーおばさんが、またしてもフラーを遮ってまたしてもものを言うおばさんに、トムも呆れてニャーと一声鳴いた。