額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ8)

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「そう思うか？」と言ったロンは、今度は箒の柄の汚れを掻き落とそうとしているのが目の端に見えた。

私は、片手でトムの黒い鱗を撫でながら、決して本から目を離そうとせず、さも集中して聞こえてない振りをした。

ハ｢ああ、そう思う｣

私もロンもハーマイオニーも反応しないので、ハリーが一人で話し続ける。

ハ「マルフォイの父親は、アズカバンだ。マルフォイが復讐したがってると思わないか？」

ロンが、目を瞬かせながら顔を上げた。本を見ていても私の目は、その文字を追うことすらせず、じっと話を聞く。

心地よい空の風が私達の部屋へとひと吹きする。

ロ｢マルフォイが、復讐？何ができるって言うんだ？｣

「そこなんだ。僕にはわからない！」と言ったハリーは、不満を募らせていた。

ハ｢でも、何か企んでる。僕たち、それを真剣に考えるべきだと思う。あいつの父親は"死喰い人"だし、それに────｣

ハリーは突然言葉を切って、口をあんぐり開け、ハーマイオニーの背後の窓を見つめ、私は顔をやっとあげる。

ハリーの顔は、驚くべきことを閃いたと物語っていた。私は、それに微妙に顰めた。

ハー｢どうしたの？｣

「あいつが"死喰い人"だ」と、ハリーがゆっくりと一語一語をはっきりと聞かせる。

それに背中に冷や汗が流れたような気がした。居心地が一気に悪くなり、トムが私の様子を伺うように顔を覗き込む。

ハ｢父親にかわって、あいつが"死喰い人"なんだ！｣

沈黙になり、そしてロンが弾けるように笑い出し、私は対照的に無表情を貫く。

ロ｢マルフォイが？16歳だぜ、ハリー！例のあの人が、マルフォイなんかを入れると思うか？｣

その言葉が私をもどかしくさせる。ゴクリと唾を飲み込み、この話題が終わってくれと心から願った。

「とても有り得ないことだわ、ハリー」と、ハーマイオニーが抑えるような口調がやけに響いた。

ハ｢マダム・マルキンの店。マダムがあいつの袖をまくろうとしたら、腕には触れなかったのに、あいつ、叫んで腕を引っ込めた。左の腕だった。闇の印が付けられていたんだ｣

それに無意識に反射的に私は左腕の闇の印があるところを摩った。

ロンとハーマイオニーは、顔を見合わせて、｢ありえない｣と目配せをしているのが目に入り込む。

ハー｢ハリー、マルフォイは、あの店から出たかっただけだと思うわ｣

ハ｢いいや、違う。あいつは、ボージンに何かを見せていた。ボージンの怖がる何か……そう、闇の印だ｣