額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ45)

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『あ、まだいたんだ』

グリフィンドールの談話室まで駆け下りれば、話し込んでいるいつもの3人が目に入る。

ロ｢寝坊癖治せよ｣

『君にだけは言われたくない』と、私は冗談ぽく顔を顰めて見せて、4人で談話室を出た。冷たい空気が心地よく私達を包み込む。

しかし、やはりそんな心地のいい空気は、掻き消されてしまうのだ。

あまりにも大勢の生徒達が私とハリーを見つめていたし、口に手を当ててひそひそ話をするし、会話に聞き耳を立てる。

ロ｢六年生になるって、いいなあ。それに、今年は自由時間があるぜ。まるまる空いている時間だ。ここに座ってのんびりしてればいい｣

「その時間は、勉強するために必要なのよ、ロン！」と、ハーマイオニーが4人で廊下を歩きながら言う。

そんなロンに呆れたように私は、肩を竦めて見せて、ハーマイオニーに無駄だよと目配せをした。

ロ｢ああ、だけど今日は違う。今日は、楽勝だと思うぜ｣

「ちょっと！」と言ったハーマイオニーが、腕を突き出して、通り掛かりの四年生の男子を止める。

その男の子は、ライムグリーンの円盤をしっかり掴んで、急いでハーマイオニーを追い抜こうとしていた。

ハー｢噛みつきフリスビーは禁止されてるわ。寄越しなさい｣

厳しい口調のハーマイオニーに、顔をしかめた男の子は、歯を剥き出しているフリスビーを渡し、ハーマイオニーの腕をくぐり抜けて友達のあとを追う。

ロンは、その姿が見えなくなるのを待って、ハーマイオニーの握りしめているフリスビーを引ったくった。

ロ｢上出来。これ欲しかったんだ｣

『ハーマイオニー、そんなの見逃せばいいのに』

私も少しロンが持っている噛みつきフリスビーに興味を示して、握りしめられているそれをじっと覗き込む。

ハーマイオニーが抗議する声は、大きなクスクス笑いに呑み込まれてしまう。ラベンダー・ブラウンだ。

ロンの言い方がとてもおかしいと思ったようだ。

ラベンダーは、笑いながら私達を追い越し、振り返ってロンをちらりと見る。そんなロンの顔は、得意げだった。

『うん？いや、まさか────』

僅かなる異変に気付いて、ロンの背後で顔を顰めてロンの背中を見つめる。

『いや、まさかそんなことは無い』

｢僕は、あるに賭けるね｣と、私とよく似た飄々とした声を出して、私は堪らずトムの口を片手で塞ぐ。

いやまさか、そんなことは無いのだ。例えそうでも、絶対に信じないぞ。