額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ44)

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144 謎のプリンスページ44

「ほんと？」と、ハリーは、意識的に私とロンと目を合わせないようにしながら言う。

ハグ｢ああ、そうとも。あいつはほんとに進歩した。3人とも驚くぞ。俺は、あいつを訓練して助手にしようと考えてる｣

ロンは、大きく鼻を鳴らしましたが、何とかごまかして、大きなくしゃみをしたように見せ掛け、私は咳払いをして誤魔化す。

私達は、もう樫の木で出来た玄関扉の傍まで来ていた。

ハグ｢とにかく、明日会おう。昼食のすぐあとの時間だ。早めに来いや。そしたら、顔が見られるぞ、バック……おっと、ウィザウィングズだ！｣

片腕を挙げて、上機嫌でおやすみの挨拶をしながら、ハグリッドは正面扉から闇の中へと出て行く。

私達は、そんな大きな背中を見送りながら3人で顔を見合わせる。ハリーもロンも、私と同じく気持ちが落ち込んでいた。

ハ｢ロン、魔法生物飼育学を、受けないんだろう？｣

ロンがゆっくりと頷き、私の方を見る。

ロ｢Aもだろう？｣

『うん、ハリーも？』

｢うん｣と、ハリーは、少しハグリッドのことが気がかりのように頷き、言葉を走らせる。

ロ｢それにハーマイオニーも……取らないよな？｣

『確か、取ってなかった』

お気に入りの生徒が、4人ともハグリッドの授業を受けないと知ったら、ハグリッドはいったい何と言うか、考えたくもなかった。

ハー｢A、先に行くわ！ちゃんと支度をしなさいね────｣

朝から早々としてハーマイオニーのお咎めの言葉を流しながら、枕に顔を埋めて片手を上げて返事をする。

バタンと無機質に扉が閉まる音。フォルの早く起きることを催促する声。そして魅惑的な梔子(くちなし)の香り。

トム｢君はいつになったらその寝坊癖が治るのかな？｣

『一生治らないって自負してるよ』

｢自負することじゃないと思うけどね｣と、トムの鋭く冷徹な言葉が放たれて、私は無理やりベッドから体を起こす。

鏡の前に立って、顔を洗う。左手の指輪が目に入り、顔を上げればシリウスとよく似た瞳がそこに存在している。

顔に手を添えて、自分の顔をよく吟味する。確かにお母さんに良く似た容姿にお父さんと同じ瞳。だけど、確かにシリウスを感じさせるものが私にあった。

髪を整えて、ローブに着替えて、のんびりと支度をする。

フォルにつつかれながらも餌をやって、鏡をちらりと見て、前髪から見える傷跡をじっと見つめた。

忌々しい印だ。トムを巻き付けて、私は急いで部屋を出て、階段を駆け下りた。