額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ5)

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ド｢それは出来ない──── 動かす訳にはいかない。どうやるのかを教えて欲しいだけだ｣

ボージンが神経質に唇を舐める仕種が、目に飛び込んでくる。

「さあ、拝見しませんと、何しろ大変難しい作業でして、もしかしたら不可能かと。何もお約束はできない次第で」

｢そうかな？｣と、言ったドラコの声は、気丈を保とうとしているような声にも聞こえたし、焦っているようにも聞こえた。

ド｢それなら、これで、もう少し自信が持てるかい？｣

ドラコが、ボージンに近寄ったので、キャビネット棚に隠されて姿が見えなくなる。

私、ハリー、ロン、ハーマイオニーは横歩きして、ドラコの姿を捉えようとしましたが、見えたのはボージンの恐怖の表情だけだ。

ド｢誰かに話せば痛い目に遭うかもしれない。時々ここに寄って、お前がこのことに充分に取り組んでいるかどうかを確かめることになる｣

ドラコの顔は、良心が痛んでる気持ちと、必死な気持ちがせめぎ合っていた。

｢そんな必要は……｣

ド｢それは、僕が決めることだ。よし、もう行くことにする。それで、あれを安全に保管することを忘れるな。あれは、僕にとって必要になる｣

その時、トムが話の区切り目と思ったらしく、また這うように戻ってくる姿がはっきりと見えた。

ボージンは、ドラコの帰る姿を見て、深々とお辞儀を長い時間する。

次の瞬間、ドラコが満足げに大股に歩いて店から出たので、扉の鈴が大きな音を立て、ドラコが私達のすぐ傍を通り過ぎたので、マントが膝のあたりでまたひらひらするのを感じた。

それと同時にグルグルとトムが這って首のところまで来ていた。

店の中で、ボージンは凍りついたように立って、ねっとりした笑顔が消えていて、心配そうな表情を浮かべている。

「いったい、何のことだろう？」と、ロンが伸び耳を巻き取りながら小声で話しかける。

『さあ、分からないね』

そんなことを呟いていたが内心分かっている部分があった。あの必死さは、きっと死喰い人のことに違いない。

ハ｢何かを直したがっていた。それに、何かを店に取り置きしたがっていた……"あれを"って言った時、何を指差してたか、見えたかい？｣

ロ｢いや、あいつ、キャビネット棚の陰になってたから────｣

「3人とも、ここに居て」と、ハーマイオニーが小声で低く言う。それに何となく嫌な予感がして、顔を顰めた。

『何する気？』

しかし、ハーマイオニーはもう、マントの下から出ていた。