額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ38)

今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:23,698 hit

138 ページ38

トンクスの姿が再び闇に包まれていく。

「おやすみなさい」と、スネイプとともに学校に向かって歩き出しながら、私とハリーは振り返って挨拶する。

ト｢またね、A、ハリー｣

暫くの間、スネイプは口を利かない。私もハリーも口を開かなかった。というより、私はいつものように口を利く気にはなれなかった。

もうあの破れぬ誓いが頭の中を大いに占めていたのだから。トムが動くとひんやりとした鱗が当たって、その度に私は少し驚く。

柄にもなく喋らない私の異変を感じ取ったスネイプが私をじっと見ているような気がした。そんな気を紛らわすように私は、マントをポーチの中に詰めた。

「遅刻で、グリフィンドール50点減点だな」と、スネイプが嫌にネチネチとした声で言う。

ス｢さらに、そうだな、1人はマグルの服装のままなので、さらに20点減点。まあ、新学期に入ってこれほど早くにマイナス得点になった寮はなかったろうな。

まだ、デザートも出ていないうちに。記録を打ち立てたかもしれんな、ブラック、ポッター｣

「多分、衝撃の登場をしたかったのだろう、え？」と、スネイプが喋り続ける。

私はスネイプと話すよりか、早く夕食を食べたかったし、早く寝たくも思った。今日はなんだか疲れた。

ス｢空飛ぶ車がない以上、宴の途中で大広間に乱入すれば、劇的な効果があるに違いないと判断したのだろう｣

隣にいるハリーは、黙ってこそいたがもう胸の中は、爆発寸前で張り裂けんばかりの思いがいっぱいなのが頭の中を読まずとも感じれた。

私達は、やっと城への石段に到着できた。

がっしりした樫の扉が左右に開き、板石を敷き詰めた広大な玄関ホールが現われると、大広間に向かって開かれた扉を通して、弾けるような笑い声や話し声、食器やグラスが触れ合う音が私達を迎え入れる。

透明マントをまた被れないだろうか？

そうすれば誰にも気づかれずにグリフィンドールの長テーブルに座れる。

都合の悪いことに、グリフィンドールのテーブルは玄関ホールからいちばん遠くに位置している。

あまり大勢からの視線はいい気がしないし、不快感がしてくるのだから。

しかし、心を読んだかのようにスネイプが態とらしく言葉を羅列する。

ス「透明マントは、無しだ。全員が君達を見られるように、歩いて行きたまえ。それが、お望みのことだと思うがね」

私とハリー即座に向きを変え、開いている扉に真っ直ぐ突き進む。