額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ36)

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その銀色の生き物を見て、私は確かに確信が持てた。確かなる確信が────

私もトンクスと同じことになったことがある。元々私の守護霊は、ヒッポグリフだったが度々大きな犬に変わっていた。

そうシリウスと同じ守護霊に。もしかして"そういうこと"なのかもしれない。

きっとそういうことなのだ。守護霊は、心の微妙な変化さへも現してしまう。トンクスの守護霊が四足歩行の生き物に変わるように。

「今のは守護霊だったの？」と言ったハリーは、ダンブルドアが同じような方法で伝言を送るのを見たことがあったのかそんなことを尋ねる。

ト｢そう、君達を保護したと城に伝言した。そうしないと、皆が心配する。行こう、ぐずぐずしてはいられない｣

そんな、少し落ち着かない空気感に急かされながら、私達3人で学校への道を歩む。

ハ｢ここで何をしてたの？｣

どうしてトンクスがここに現れるのかと、ハリーは疑問に思ったようで声を出す。

ト｢私は今、ホグズミードに配置されているんだ。学校の警備を補強するために。プラウドフット、サベッジ、それにドーリッシュもここに居る｣

ドーリッシュ……確か、去年ダンブルドアと敵対していた闇祓いだったはずだ。

今しがた馬車が通ったばかりの轍の跡をたどりながら、私達は暗く人の気配のない道を黙々と歩いた。

マントの下に隠れたまま、堪らないほど押しつぶされそうな空気に逃げ出したいと心から思った。

去年のトンクスは、好奇心旺盛でよく笑ってよく冗談を言って、明るくて可愛らしかった。

しかし、今はどうだろうか？今のトンクスは、少し老けたようにも見えたし、真面目で決然としていた。

もしリーマスの事だったら、私には何もしてやれることは無いだろう。兎に角リーマスとの事に口出しする資格がない。

私達は黙ったまま、寒い夜を、ただ歩く。トンクスの長いマントが、私達の背後で囁くように地面をこすっていた。

いつも馬車で移動していたので、ホグワーツがホグズミード駅からこんなに遠いとは、これまで気付かなかった。

やっと、門の両脇に立っている羽根の生えたイノシシの像が乗っている門柱が見えたときには、心からほっとする。

寒くて腹が空いていたし、別人のように陰気なトンクスが私をもどかしくさせていた、門を押し開けようとして手を出すと、鎖が掛けられていて閉まっている。

『夏の間に警備措置が百倍も強化されたようだね』

強い呪文を肌に感じながら、トンクスを見つめる。