額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ31)

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ザ｢16 歳で、しかも、まだ完全な資格もないのに？｣

「たったいま言わなかったか？あの人は多分、僕に資格があるかどうかなんて気になさらない。僕にさせたい仕事は、たぶん資格なんて必要ないものかもしれない」と、マルフォイが静かに言葉を続ける。

クラッブとゴイルは、二人ともガーゴイル像のように口を開けて座っていた。

パンジーは、こんなに神々しいものは見たことがないというような顔で、マルフォイをじっと見つめた。

「ホグワーツが見える」と、自分が作り出した効果をじっくり味合いながら、マルフォイは暗くなった車窓を指差す。

ド｢ローブに着替えた方がいい｣

僕は、マルフォイを見つめることに気を取られ、ゴイルがトランクに手を伸ばしたことに気付かなかった。

ゴイルがトランクを振り回して棚から下ろす拍子に、頭の横にゴツンと当たり、思わず声を漏らしてしまう。

マルフォイが、顔をしかめて荷物棚を見上げた。

マルフォイが怖いわけではない。

仲の良くないスリザリン生達に、透明マントに隠れているところを見つかってしまうということは僕にとって耐えられない。

頭はズキズキ痛んで目が潤んでいたが、マントを乱さないように注意しながら杖を取り出し、息をひそめて待つ。

マルフォイは、列車の騒音だったと思い直したようだったので、ほっとする。

マルフォイは、他の皆と一緒にローブを着て、トランクの鍵を掛け、列車が速度を落として徐行をはじめると、厚手の新しい旅行用マントの紐を首のところで結ぶ。

通路がまた人で混み合ってくるのを見ながら、Aとハーマイオニーとロンが自分の荷物を自分にかわってプラットフォームに降ろしてくれればいいのだが、と願っていた。

このコンパートメントがすっかり空になるまで、この場から動くことはできないのだから。

最後に大きくガタンと揺れ、列車は完全に停止する。ゴイルが扉を開け、二年生の群れを拳骨で押し退けながら、強引に出て行く。

クラッブとザビニがその後に続いて行くのが見えた。パンジーもいなくなって、今やコンパートメントには、僕とマルフォイだけ。

生徒たちは列をなして通り過ぎ、暗いプラットフォームへと降りて行く。

マルフォイは、コンパートメントの扉のところに行って、ブラインドを下ろし、通路側から覗かれないようにした。

それからトランクの上に屈んで、いったん閉じた蓋をまた開ける。