額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ22)

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ビロードで覆われた腹が、コンバートメントの空間をすべて埋め尽くしているかのように見えた。

禿げた頭と巨大な銀色の口ヒゲが、陽の光を受けて、チョッキの金ボタンと同じぐらい眩しく輝いている。

ホ｢よく来た、よく来てくれた！それで、君はミスター・ロングボトムだろうね！｣

それにネビルが恐る恐る小さく頷く。

スラグホーン先生に促されて、私達は扉に1番近い、3つだけ空いている席に腰を下ろす。

私は、何気なく招待された人をちらりと見渡してみる。同学年の顔見知りのスリザリン生が一人。

頬骨が張り、細長い目が吊り上がった、背の高い黒人の男子生徒だ。

その他、知らない七年生が二人、それと、隅の席にスラグホーンの隣で押しつぶされながら、どうしてここに居るのかさっぱり分からないという顔をしているのは、ジニー。

「さーて、皆を知っているかな？」と、スラグホーンが、私とハリーとネビルに尋ねる。

ホ｢ブレーズ・ザビニは、勿論、君達の学年だな────｣

ザビニは、ハリーとネビルに対して顔見知りであることの素振りも見せず、挨拶もしなかったが、ハリーとネビルも同様だった。

私は、そんなハリーとネビルを横目で見ながら、ザビニと挨拶を交わす。

グリフィンドールとスリザリンの学生は、基本的に憎しみ合っていた。私は、例外だが。

ホ｢こちらは、コーマック・マクラーゲン。お互いに出会ったことぐらいはあるんじゃないかね、うん？｣

マクラーゲンは、大柄で、針金のような髪の毛の青年だ。片手を挙げたので、私とハリーとネビルは頷いて挨拶をする。

ホ｢そして、こちらはマーカス・ベルビィ。知り合いかどうかは────｣

痩せて神経質そうなベルビィが、無理やり微笑み、それに私は微笑を浮かべる。

確か、マーカスは20世紀後半にトリカブトの薬を発明した著名な魔法薬学者ダモクレス・ベルビィの甥ではなかっただろうか？

「────そして、こちらのチャーミングなお嬢さんは、君達を知っているとおっしゃる！」と言ったスラグホーンが、紹介を終えた。

ジニーが、スラグホーンの後ろで、私とハリーとネビルに顔を顰めてみせ、私は笑いを出来るだけ最小限に押しとどめる。

「さてさて、楽しいかぎりですな」と、スラグホーンがくつろいだ様子で言い、私はこの空気感に少し落ち着かない。

ホ｢皆んなと少しばかり知り合えるいい機会だ。さあ、ナプキンを取ってくれ。私は自分でランチを準備してきたのだよ｣