額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ2)

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ロ｢だけど、三ガリオン九シックルなんて持ってない！｣

ロンの大きな声を聴きながら、私はぐったりと壁に寄り掛かる。それもこれも双子の自称事情聴取のせいだ。

トム｢顔がいいと大変だね｣

『君も同じでしょ？』

トムはハリーが居ないことを確認して、赤毛のロンを見つめながら、嫌味に笑って言う。

トム｢さあ、僕は何ともなかったね｣

｢君程じゃない｣とトムは、私の方を向いて黒々とした鱗を輝かせた。それに私は不満げに目を細める。

ロンは箱をいくつか落とし、フレッドに向かって悪態をついて下品な手まねをした。それが運悪く、その瞬間を狙ったかのように現われたウィーズリーおばさんに見つかってしまっていた。

「今度そんな真似をしたら、指がくっつく呪いをかけますよ」と、ウィーズリーおばさんが語気を荒らげて怒る声が頭に響く。

「ママ、ピグミーパフが欲しいわ」と、間髪を入れずにジニーがずる賢くおばさんに頼んだ。

「何をですって？」と、おばさんが用心深く言葉の一語一語を確かめように尋ねる。

ジニ｢見て、かわいいんだから────｣

ウィーズリーおばさんは、ピグミーパフを見ようと脇に寄り、その一瞬、私、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、真っ直ぐに窓の外を見ることが出来た。

ドラコ・マルフォイが、一人で通りを急いでいる姿が目に入ったのだ。ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ店を通り過ぎながら、マルフォイはちらりと後ろを振り返る。

一瞬の後、その姿は窓枠の外に出てしまい、私達にはマルフォイの姿が見えなくなった。

「あいつの母親は、どこへ行ったんだろう？」と言ったハリーは、眉を顰める。

ロ｢どうやら撒いたらしいな｣

ハー｢でも、どうして？｣

私は、黙り込んで至極まともな顔で頭を久しぶりに働かせる。

ナルシッサ・マルフォイは、大事な息子からそう簡単に目を離したりはしないはずだ。

固いガードから脱出するためには、ドラコはかなりの努力をしなければならなかったはず…… たわいもない理由で脱走したのでないだろうか？

私も考えつかないような理由で────

私は、考えるのを止めて、呑気に辺りを見渡す。

ウィーズリーおばさんとジニーは、ピグミーパフを覗き込んで、ウィーズリーおじさんは、イカサマするための印がついたマグルのトランプを一組、嬉しそうにいじっていた。

フレッドとジョージは、二人とも客の接待し、窓の向こうには、ハグリッドが通りを端しから端しまで見渡していた。