額に傷を持つ2人~不死鳥の騎士団~終④~ハリー･ポッター (ページ2)

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ハリー達を止められたのに、あの時冷静を保って、両手鏡のペンダントで連絡を取ればよかったんだ。

なんてことをしたんだ。何で、こんな時に選択をミスしてしまうんだ。

耐えられない、考えたくない、我慢できない。

心の中に、ぽっかり恐ろしい穴が空いている。感じたくない、確かめたくない、暗い穴。

そこにシリウスが居る。そこから、シリウスが消えたんだ。

その静まり返ったがらんとした穴に、たった一人で向き合っていたくない。我慢できない。

胸を満たしていた恐ろしい寄生虫のような罪悪感が、身をくねらせてのた打ち回る。

耐えられない。自分が自分であることに、もはや耐えられない。

自分の心と身体に、これほど縛りつけられていると感じたことはない。

誰でもいいから誰か別人になりたいと、こんなに激しく願ったことは1度もなかった。

『もう、いやだ』

ベッドの上で膝を抱えて丸くなる、顔を膝に埋めてただ白い部屋の中でただ時間が過ぎるのを待つ。

部屋の火の気のない暖炉がエメラルド色の炎を出したのが顔を埋めている隙間から見えた。

きっとダンブルドアだが、静かに私がいるところに歩いてきては、ただ私の前で直立する。

『……もう、話は終わったんですか？』

いつにも増して空虚な声を響かせた。そして膝から顔を外して、ダンブルドアを見上げる。

彼の顔は、とても悲しそうな顔をしていた。何で貴方が悲しい顔をするんだ。

貴方よりも私の方が数倍も苦しいのに、助けを求めたいのに。

何で、何で、何で何で！

そんな哀れみの目で私を見ないで、心の穴に向き合わせないで、心の穴に突き落とさないで。

ダ｢ああ終わった､A。立てるかの？｣

私は、ダンブルドアから差し出された手を取らずに、自分で立ち上がり、暖炉の傍に行き、煙突飛行粉を片手で暖炉に振りまく。

エメラルド色の心地よいそよ風のような炎が暖炉に燃え上がる。

左手でシリウスの杖をポーチに入れる。

『どこに行けば、良いんですか？』

ダ｢A……お主が傷ついているのはよく分かっておる｣

私の顔がエメラルド色に照らされる。

『何を分かってるって言うんですか？』

冷ややかな目をダンブルドアに向けながら、敵意を指し示す。

ダ｢A、君の心は、今痛みで苦しんでいる。それは君が人間であることの証拠で君の強みでもあるのじゃ｣

『それが無くなれば、ヴォルデモートと一緒ってことですか？"唯一"ヴォルデモートと違うところ、と？』