第34話 ページ40
…
罪な人、かぁ。
｢確かに、罪な人、です。あの人は。｣
忘れたくても、忘れさせてくれないし、傍にいたいのに、巻き込みたくないからって傍にいさせてくれない。
その結果が、今の状況。
｢今でも凄く好きなんです、でも、会いに行けなくて。｣
｢あらどうして？会いたいなら会いに行けばいいじゃない！FBIの人なら話しても問題ないでしょう？｣
｢会いたい、んですけど。｣
会いたい、そう言って会えるなら何度だって言ったっていい。それ程好きだから、それ程私にとって大切な人だから。でも。
｢…亡くなったんです、その人。｣
私がアポトキシン4869を飲まされる数ヶ月前に、何も言わずに彼は死んだ。
キール、水無怜奈に聞いた話では、自分があの男の額に弾を撃ち込んだから間違いない。と。
｢だから、私はあの日、奴らを裏切る行動をわざととりました。｣
死にたかった。彼がいないと分かった今、生きてる理由なんてどこにもないと思ったから。
FBIに入りたかったのは大切な人が現れた時にその人を守れる存在になりたかったから。
だから必死に努力した。
勉強も、截拳道も、辛くても必死に耐えてきた。
それなのに大切な人を守るどころか、死んだということを知ったのはその２日後で。
何も出来なかった。
何も知らなかった。
いざという時に動くことすら出来ないなら、私という人間が生きている価値なんてどこにもない。
そんなことを今も思ってしまっているなんて、誰にも言えないけれど。
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7月28日 修正しました。
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作者名：ロゼ | 作成日時：2019年6月17日 22時
