満月の夜に願いましょう【赤井秀一】 (ページ27)

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第22話ページ27

沖矢side

久しぶりにどうしても煙草が吸いたくなり、家事もそこそこにして放置し、家から1番近いコンビニへと足を運んだ。

沖矢昴として(・・・・・・)あの家に居候させてからどのくらい経ったのだろうか。有希子さんに教わった変装術も最初の方はかなり苦労したが、今では週間になっているためかかなり上達し、

自分で言うのもなんだが、かなり上手くやれている方だと思う。

しかし、そんな俺にだって、時々本来の姿に戻りたいと思うことも勿論ある訳で。

最初こそは我慢していたが私生活では常に煙草を吸っており、手放すことなど夢にも見ていなかった為、変装術を完璧にするために面影の残りそうな行動は控えるようにしていたが、

それでも、ずっとやり続けていたものを今更やめろと言われても精神的にもかなり辛く、結局月に数回煙草を吸ってしまっている訳だ。

｢15番の煙草を1箱。｣

煙草の箱が並べられた棚も確認せず、慣れた言い方でいつも吸っている煙草の番号を店員に言った。

お金を払い、お釣りを貰って、さぁ帰って吸おう等と考えていた時、店に入ってきた明らかに怪しい男。事件が起こる予感がした。

｢その場に座って手を上げろ！！
さもなくば撃つぞ！！｣

震える手で拳銃を構えてそれを店員に向ける男。本当にこの町は事件への遭遇率が高いなと内心ため息をついた。